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2025-01-07 21:19

(連載1)コペルニクス的発想の転換の必要性について

真田 幸光 大学教員
 2024年この地球上の歴史に於いては、それまでの常識とされた、太陽が地球の周りを動いているのではなく、地球が太陽の周りを動いているのであると地動説を主張したコペルニクスの言動を背景として、それまでの常識を覆すような発想をしないと、「真理」には辿り着かない、発想の大転換が必要であるとの考え方があります。但し、この地動説については、今、世界の一部では、何を軸にして見るのかによって、天動説だってあり得るとの声はあるようで、一言、付記はしておきますが。さて、私が長い間生きてきている、「国際金融市場」の世界では、これまでの理論、常識を金科玉条の如く主張して、我田引水的に政策展開やDealを行う傾向がありますが、ここには、コペルニクス的発想の転換が必要であろうと私は考えています。

 以下は、金融のプロからすると、これまでの常識からして、異論ありと言われてしまうかもしれませんが、日本再生の一つの処方箋として、私は検討しても良いと考えていることであります。日本の中央銀行である日本銀行は植田総裁体制となり、2024年には、遂に政策金利を0.25%まで引き上げ、日本を再び、「金利のある世界」に戻してきました。但し、未だに慎重な金利引き上げ姿勢を示しており、利上げ期待のあった2024年12月にも利上げを断行しませんでした。こうした中、国際金融市場の一部からは、「日銀は利上げをとにかく遅らせたいと考えているのではないか。」との見方も出ています。

 2024年10月31日の日銀の金融政策決定会合では、植田総裁は、「時間的余裕はある。」との主旨の表現を使わないと明言しました。これを、追加利上げを示唆するメッセージと私などは受け止めましたが、上述した国際金融市場の一部の人たちからは、「日銀はもともと、次の利上げを最後の1回と考えている。そして、その実行のタイミングを遅らせたい意向があるように思われる。これまでも、様々な理由を挙げて先延ばししてきた。」と見方しています。私は、そもそも株式会社「的」組織であり、資本金がたった1億円しかない、こうした中、日銀の本来の収益源は、保有債券から得られる利息と支払い利息との差額がその源泉となっており、これを通貨発行益などと言っているが、この本来の通貨発行益は、もし現状で日銀が利上げを実行すれば、マイナスになる、これを何回も行えば大幅なマイナスになる、更に、利上げによって、日銀自身が現在保有している日本株や日本国債の減価に繋がることとなれば、日銀が保有する資産の劣化にも繋がる可能性があり、こうした結果が、最終的には日銀の信用失墜に繋がり、たった1億円しかない資本金からすると、「日銀の事実上の破綻」にもなりかねないとも考えています。
 
 そして、円の実質的な価値は、信用力が高く、この円で、モノやサービスと安心して交換出来ることから生まれているものでありますが、今後、価値が落ちれば、究極は、円では何のものもサービスも購入出来なくなる可能性が出てきます。そしてその円の価値の背景には、日本国全体の信用力が関連し、その中でも特に、「日本の国家の財政状況」が関連します。日本の財政状況は今、異常とも言える状態にあると国際金融市場からは見られ始めており、歴史的に見ても、例を見ない規模の量的緩和策が未だに続いている訳ですから、本来であれば、短期金利を引き上げ、量的緩和を段階的に縮小していくべき時期に入っていると思います。(つづく)
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