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2024-08-05 23:18

韓国に見られる円資産運用について

真田 幸光 大学教員
 為替レートに関しては、直ぐにマスコミなどで、「円安は良い。」「円安は問題である。」
といったように、短絡的にそれを評価する見方が披露されます。しかし、先ず、「何に対して円安なのか?円高なのか?」をまず確認する必要があります。即ち、円安か円高かを議論する基準となる数字が、例えば、前日なのか、一年前なのか、史上最高値七日、史上最安値なのか、理論値から見る適正水準なのか、などによって同じ数字であっても、円安になる、円高になる可能性があります。例えば、160円台に入り、しばしば、「円安である。」と指摘されますが、360円未定相場時代からすれば、160はやはり円高です。しかし、史上最高値をつけた70円台に比べれば、円安となります。
 
 一方、円安・円高の功罪は一般的には、その評価をする人のポジションにより、正反対となります。即ち、円建ての支払いをする債務を多く追っている人、企業は、「円安は困る。」
と言い、米ドル債権をより多く持つ人、企業は、円安によって、米ドルを円にExchangeした後の円建て金額が為替レートによって膨らむことから、「円安は好ましい。」と一般的には答えましょう。こうした円安・円高の評価は決して単純ではありません。そして、日本国内には、こうした両サイドの国民、企業がいますから、その双方のメリット・ディメリットが相殺されるブレークイーブンポイントである、「理論値でいう適正相場水準」に為替レートを収束させていくことが日本政府の役割となると私は考えています。
 
 さて、こうした中、最近、若干、円高に戻しているとはいえ、相対的には円安となっていると見る向きは、今後は円が適正レート水準に戻ってくる。」と考え、安いうちに円を買い、円建て資産運用をして塩漬けにし、円高を待つと言う資産運用をするという人が出てきます。そして、円が1ドル=160円台を付ける超円安が続いた際、韓国では今後の円の反発に賭ける投資家が増えていると報告されました。6月27日のウォン・円相場は100円=864.37ウォンを付け、ウォンに対しては円安が続き、韓国の投資家達は、円安。米ドル高が是正され、ウォンに対しても円高に戻る、つまりウォン・円相場が再び100円=1,000ウォン台を回復することに期待して、こうした円資産運用を開始しているのであります。円預金は代表的な「円テク(円と財テクの合成語)」手段に挙げられています。
 
 こうした韓国の投資家達は、「円は金利がゼロ水準にあり、利息収入は期待出来ないが、いつかは円が上がるだろう。」との期待から利息収入は諦め、為替差益を狙っているものと見られています。韓国銀行によると、5月末時点で居住者の円預残高は100億7,000万米ドルと集計されています。また、別の円テク手段としては、韓国株式市場に上場された外貨建ての上場投資信託(ETF)に投資する方法もあります。「TIGER日本円先物ETF」と言われる手法が、韓国で円に投資できる唯一のETFであり、円先物指数に連動しています。ただ、最近の円安で年初来の収益率はマイナス6%を記録していることから、今は潮津瀬家にされているようです。様々な見通しによる資産運用の仕方がある、こうした韓国の投資家の動きからも垣間見られます。尚、最近は円高基調に戻していますが、それでも韓国では。「済州島に観光に行くお金があれば、日本に行ける。」「日本の不動産を購入するチャンス」と言った報道が今も見られています。
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