国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2023-06-28 11:20

韓国の輸出競争力について

真田 幸光 大学教員
 韓国の最新動向について、いつくか述べてみたいと思います。まず、韓国では次の総選挙を来年には迎える予定であることから、既に政治の季節に入っているという状況にある中、「ユン大統領のリーダーシップ不足」が一部では指摘されているようです。そうしたコメントの中には、前回の選挙無効訴訟に対する大法院の裁判や選挙管理委員会の対応に対するユン大統領の姿勢に対する不満も出ているようです。左翼政権の清算も出来ず、その左派の巻き返しも懸念されています。また、ユン大統領を支える「右派」の中でも、パフォーマンスばかりの大統領への不信・不満が高まっているとの声も耳にします。即ち、世論調査に出る、数字にはそれなりの根拠があると言うことであります。
 
 厳しい国際情勢にさらされる日韓が真に信頼関係を持ったと言うのであれば、自らの国内の評価を上げる為のポピュリズム的な効果を期待した日韓関係の改善ではなく、「如何にすれば、平和共存が出来る東アジアの構築が出来るのか」を意識した日韓関係の改善に向かって、日韓両国政府が力を合わせて戴きたいと思います。但し、日韓の自主的な「すり寄り」を米国がどう反応するのかは警戒しつつ、ではありますが。
 
 次に韓国の輸出競争力について、良いか悪いかは別にして、「韓国は貿易依存、就中、輸出依存の高い国」であります。また、輸出を主導する企業が大企業であり、この結果、財閥依存度の高い国ともなっており、また、昨今では、主要輸出国のトップが中国本土となっていることから、中国本土依存の高い国ともなっているとも言えましょう。こうした現状から考えると、「韓国の主要輸出貿易商品の競争力」は韓国経済を眺めていく上で、とても大切な指標となっていきます。さて、こうした中、韓国の主要経済団体である全国経済人連合会(全経連)の分析によると、「昨年全世界の市場で韓国の貿易品目のうち輸出競争力が相対的に劣る品目が過去10年間で最多となった」との報告がなされ、韓国経済界に波紋を投げかけています。実際には、最近の傾向として、「韓国の輸出競争力は低下してきている」と言われていますが、その傾向が続いていると言うことなのであります。

 具体的に眺めてみます。全経連は、2013年から昨年までの輸出品目の貿易特化指数(TSI)を分析したとしています。ここで言うTSIは特定商品の競争力を示す指標(マイナス100-プラス100)で、基準値の0を境として、マイナスなら輸入依存度が高く、プラスならば輸出競争力があり、国際的に優位にあることを示す指数とされて、点数化され、示されています。2013年時点ではTSIがマイナスの品目は全体1,216品目のうち815品目(67%)となっていましたが、2022年には1,221品目のうち846品目(69.3%)に増えたとしています。一方、同じ期間にTSIがプラスの品目は401品目(33.0%)から375品目(30.7%)に減少したと報告されています。果たして、韓国の輸出競争力が今後も下がり続けるのか否か、また、その結果、韓国経済は如何に変化していくのか、などを今後もフォローしたいと思います。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会