国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2023-06-06 19:41

中露による米ドル通貨覇権に対する挑戦

真田 幸光 大学教員
 広島G7サミットでは、ウクライナ侵攻を図ったロシアと経済は権力を強める中国本土の二ヵ国を意識した議論を中心になされたと言ってよいであろう。そして、中国本土経済を牽制する為に構築されたと言われている、米国政府主導で発足した「インド・太平洋経済フレームワーク(IPEF)」が発足してから1年経ってやっと、「サプライチェーン協定」を妥結した。これにより米国を中心としたサプライチェーンを構築し、脱中国本土化を本格化する。その結果として、中国本土経済に対して、より一層厳しい圧力を掛けていく姿勢が確立されたと見られている。
 
 世界各地では、米英やロシア、中国本土が主催する国際会議が盛んにおこなわれている。上述したG7ももちろんその一つに入る。こうした中、6月1日から外相会議が始まったブラジル、ロシア、インド、中国本土、南アフリカの新興5カ国(BRICS)各国では、「基軸通貨の米ドルへの依存から脱却し、共通通貨の創設を求める声」が上がり、議論が始まった。いよいよ中露による、「米ドル通貨覇権に対する挑戦が本格的に始まった」と見てもよい。

 「非米欧」の対抗軸を作ろうとしている中露が、所謂、グローバルサウスの中で力を持つインドやブラジルも巻き込みながら、存在感を高めようとしているとも見られ、共通通貨などが今後議論されていこう。もちろん、BRICS各国の国益はまだまだかなりの違いがあり、共通通貨構想を巡る各国の思惑にはかなりの温度差があると見られ、実現には困難があるとの声もあり、筆者もそれを否定はしない。

 しかし、「基軸通貨・米ドル」即ち、「米国覇権」に対する世界的な批判や不満は高まりつつあり、筆者が見るところ、BRICSが結束するとすれば、「BRICS BANK」、「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」という、中露を軸に構築した国際金融機関を上手に利用しながら、米ドル基軸を崩しに来る可能性はある。「現行の世界基軸、英米の秩序」が今後どのように変貌していくのか、変貌しないのか、丁寧にフォローしたい。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会