国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2023-05-19 10:32

ロバート・F・ケネディ・ジュニアが大統領選挙に出馬表明

古村 治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員
 2024年の大統領選挙民主党予備選挙にケネディ一族のロバート・F・ケネディ・ジュニアが立候補した。ケネディ・ジュニアの出馬表明はまさにドナルド・トランプが2015年に大統領選挙に出馬表明をした時と同じように衝撃的な出来事だ。ケネディ・ジュニアははっきりと、「自分が大統領になったら、全世界にある800の米軍基地を閉鎖し、米軍を撤退させる」と述べた。これは、トランプが出馬表明をした際と同じ内容である。アメリカは帝国であることを止める、アメリカは世界の問題に過度に関わらない(ある国の問題はその国が解決することだ)、アメリカ国内の問題解決に取り組もう(アメリカ・ファースト)ということをはっきりと述べた。アメリカの中産階級が地上から消し去られよう(一掃されよう)としているとも述べた。ウォール街と政府のつながり(ウォール街がアメリカを支配すること)を止めようとはっきりと述べている。

 ロバート・F・ケネディ・ジュニアは1954年生まれの69歳、父はロバート・F・ケネディ元司法長官・元連邦上院議員、伯父はジョン・F・ケネディ元大統領で、アメリカのセレブ中のセレブ、民主党の「王朝(ボストン王朝)」であるケネディ家の主要メンバーである。父や伯父と同じくハーヴァード大学を卒業し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでも学んだ。環境問題にかかわる弁護士を務めている。同時に、反ワクチン運動を長年続けており、この点でアメリカでは「陰謀論者(conspiracy theorist)」という扱いを受けている。ケネディ家の中では孤立している。

 ケネディ・ジュニアには2人の息子がおり、上記の写真でも右側に写っている。次男のコナー・ケネディはアメリカの人気歌手テイラー・スウィフトと浮名を流したことで知られている。何度か逮捕されたこともあるようだ。更には、ウクライナ戦争が始まってから、ウクライナ側の国際義勇軍に参加し、戦闘を行ったと告白している。今回、父の出馬表明に立ち会っているが、ウクライナ側にシンパシーを持っているのならば、父ロバート・F・ケネディ・ジュニアのウクライナ戦争に関する考え(交渉による早期解決)には反対であろうから、戦争から帰ってきて考えを変えたということが考えられる。ロバート・F・ケネディ・ジュニアについては「当選の可能性が低い(long-shot)」の候補者である問報道が主流メディアでなされている。しかし、トランプも立候補表明後最初の世論調査での支持率は1%だった。また、ある世論調査では、民主党支持者の7割がバイデンの高齢(80歳)を理由にして、バイデンに出馬して欲しくないと答えている。バイデンは現職大統領であるにもかかわらず、不人気だ。それでもバイデンは立候補して再選を目指すだろう。民主党はバイデンが立候補すれば、通常の予備選挙で行われるような立候補者同士による討論会は行わないと発表している。

 そんなことになれば、民主党反主流派や進歩主義派、ロバート・F・ケネディ・ジュニア の支持者たちは大暴れして、最悪の場合には民主党の分裂、党員の大量脱党ということまでなりかねない。バイデンたちはどんな方法を使ってでも再選に向かうだろうが、それを抑止する力としてロバート・F・ケネディ・ジュニアへの支持が高まることを期待する。怖いのは、父や伯父と同じ運命をたどることだ。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会