国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2022-12-13 11:37

中国のゼロコロナ抗議は国民を解放するのか?

岡本 裕明 海外事業経営者
 中国のゼロコロナ政策についに国民が声ならぬ「白い紙」を掲げ始めました。中国では体制に対する批判は厳しく罰せられるため、白い紙は無言の抵抗という訳です。政権からは明白な指針が聞こえきておらず、難しい判断を求められそうです。

 きっかけの一つは11月24日に新疆ウイグル自治区で起きた火事でその際にコロナ規制があだとなり、相当数の死者が出たとされます。相当数の死者とは公になっている10名より実際ははるかに多いのではないかという情報の不確定さ故に断言できないのです。これは国民の不満が相当溜まっていて、きっかけがあればすぐに反応する状態だったともいえ、今後、似たような「惨劇」が起きれば一気に事態が悪化する公算はあります。

 一方、政権の立場は不明瞭です。当初は習近平政権はある程度の折衷的な緩和策を提示するのではないか、とされました。そうすれば中国経済に改善の兆しが生まれるので世界経済としてもほっとできるという楽観的な見方もありました。アップル製品を作っている工場での抗議運動により稼働が落ちており、製品が十分に供給できない不安感からアップルの株価が下落するなど世界への影響も看過できない状況ともいえます。

 しかし、政権は緩和すれば爆発的なコロナ感染の拡大とその対応で国内が大混乱することをより恐れているという立場のようです。様々なシナリオがあるようですが、大局的にみれば中国製のワクチンは効きが悪い、患者を収容する施設が十分にない、仮に何十万人もの高齢者を中心とした死者が出れば政権がぐらつく可能性がある、当然ながら習近平氏の手腕と中国経済のダメージは相当厳しいものが予想されます。世界経済へも波及し、その影響力は計り知れないものになる、と想像できます。

 となれば上述の緩和策による経済復活という楽観視のシナリオはリスクと背中合わせで、日本やアメリカを含め世界が混乱に陥ることもあり得るとなります。

 中国のコロナ対策は当初は素晴らしいものとされました。感染者を徹底的に追い込んだからです。平たく言えば「力づく」での対策です。それは考えるまでもなく、中国全体を一種の無菌状態にしようとしたわけです。ですが、抑え込みという発想そのものが私には荒唐無稽であります。100歩譲ってそれが出来たとして数年後、人工培養の中国人が諸外国の人と接点を持った時、中国人は自分を守る免疫がないので高いリスクを負うことにならないでしょうか?これでは中国発のコロナ無免疫者災害になりかねません。そんな事が起きればそれは人災という声すら上がるでしょう。

 私は免疫学者でも何でもないので専門的なご意見はありがたく頂戴しますが、結局はゼロコロナ政策こそが中国の最大のリスクではないかと思うのです。イアンブレマー氏が2022年の最大のリスクはゼロコロナと年初に指摘していたのですが、本当にそういうことになりそうです。

 習近平氏はイデオロギーの塊です。一度決めたことを簡単に方向転換するタイプでもありません。とすれば現状の「白い紙」抗議運動程度ならスルーする可能性は高いと思います。つまり国民は解放されないとみています。仮にこの抗議がより過激に、そして死傷者を伴うような当局と住民との衝突が起きればこれも軍隊なりを動員してでも力づくで抑えてしまうでしょう。ですが、それは習近平氏が大変な危機との背中合わせになるとも言えます。

 だいぶ前に私は中国を変えられるのは誰か、ということを記しました。それは外交的圧力でもないし、経済制裁でもありません。中国国内の国民の蜂起、これが最大のリスクなのです。文化大革命の際の終わり方もドラマがかっていましたが、実質は内乱という大混乱を通して政権が変わります。

 習近平氏はアリババも不動産会社もIT企業も学習塾も抑え込むことに成功しました。香港も実質的に取り込み、政敵も今はほとんどいません。台湾政策も虎視眈々と進めるでしょう。が、これは習氏が裸の王様になりつつあるともいえます。独裁化すればするほど国内の反発力は高まり、何かあれば大きな衝撃になりやすくなるともいえましょう。

 あくまでも個人的考えですが、免疫という発想は大事だと思うのです。人間は個体を守る本来の力を皆持っていますが、その本来持てる力を人々は均等に発揮できません。出来ない人のために治癒方法として現代医学が進化しました。よって弱い人はワクチンを打つことである程度緩和できるかもしれませんが、ワクチンは万能でもないし、副反応や更に悪い結果をもたらすこともあります。こうなると確率論に近い気がします。

 本質的にはヒトが本来持つ治癒させたり環境適応したりする能力を自然に身に着けることがより重要ではないかと思います。その点、中国の無理やりの政治ショーのような対策は大変不自然でその歪は必ずどこかでしわ寄せがくるだろうと思います。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会