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2022-09-30 15:04

(連載1)暴走列車プーチン号は誰が止められるのか

岡本 裕明 海外事業経営者
 3年ぶりの国連において岸田首相が一般討論演説を行いました。正直、誰の印象にも残らず、しゃべったという記録だけが残る演説内容です。これはスピーチライターがよくないと思います。岸田氏の性格を上塗りしたような表面さらいの浅い話をいくつか展開し、何が言いたいかよくわからないそんな内容でした。ただひとつ挙げるとすれば、その中で「国連憲章の理念と原則に立ち戻るための安全保障理事会を含む国連の改革、そして、軍縮・不拡散も含めた国連自身の機能強化」を訴えていることは重要です。これは他のスピーカーも同様の主張をしており、国連改革の機運が出てくるとみています。
 
 なぜ、国連はダメだと言われているのか。その最大のイシューは常任理事国の拒否権であります。ロシアと中国が重要な案件で違う判断をすることが多く、世界が連帯すべき議題でほど、国連としての決議や行動が出来ない訳です。ゼレンスキー大統領も今回、拒否権の見直しを強く主張していますし、バイデン大統領は理事国の増加を主張しています。私は増やすより拒否権の乱用を制限する仕組みづくりが重要だと考えています。そのことはアメリカの大統領が一番わかっていることです。議会決議を大統領令で覆すという権力顕示が頻繁に起きている中で誰が何を決める権利を有するのか、本当の民主主義とは何か、一権力者が多くの民意を覆すことはどこまで許されるのか、アメリカ自身が答えを出すべきでしょう。私から見ればアメリカは理想的な民主主義とはかけ離れた政治システムで動いており、権威主義的、強権的な動きは普段から起きていると考えています。
 
 さて、ロシアは誰と戦っているのか、と考えると私にはウクライナへの侵攻はトリガー(引き金)であって、本質的には冷戦時代の米ソの対立軸の関係を背負ったものではないかと考えています。つまり、ウクライナを利用した西側諸国への挑戦とも見えなくはありません。
 
 プーチン大統領は先般のウズベキスタンとカザフスタンでの会議、及び習近平氏とインドのモディ氏との会談で孤独感を強く味わう結果となりました。中国はロシアとは経済問題以外は深入りせず、モディ氏は「今は戦争の時ではない」と直接苦言を呈しています。これを受けてプーチン氏はより頑なになり、東部ウクライナの支配を絶対的なものにするために現地の「住民投票」、及び予備役兵30万人の投入を矢継ぎ早に実施しました。また、「目には目を」ならぬ「核には核を」ととれる記者会見を行い独善的な姿勢がより強まったように見えます。(つづく)
 
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