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2022-07-11 15:48

(連載1)安倍元首相銃撃事件にみる「粗暴の連鎖」

中村 仁 元全国紙記者
 「安倍元首相が撃たれ出血、心肺停止」の速報がスマホに流れてきて、テレビをつけてみると現場中継をしていました。「日本ではまさかそんなことは起きまい」は通用しなくなりました。犯行の動機の解明はこれからで、すでに無数の論点、視点、解説が流されています。その多くはそれぞれポイントを突いているのでしょう。
 
 安倍氏は強気、強引、強行突破、挑発型の政治家で、それが持ち味にもなる反面、いろいろな意味で標的にされやすい。だからといって犯行が許されるわけで全くない。「民主主義の破壊を許さぬ」(朝日新聞)、「卑劣な凶行に怒りを禁じえない」(読新聞)は本質を突いた社説です。早く知りたいのは、犯行の動機です。「特定の宗教団体を恨む気持ちがあった。とのトップを狙おうとしたが難しく、安倍氏がその団体とつながりがあると思い込んで狙った」(朝日)、「母親が特定の宗教団体に多額のカネをつぎ込み困り果てた」(NHK)あたりが糸口になるのでしょうか。
 
 政治テロというと、かっては青年将校、右翼団体・組織など、思想的、組織的な背景がありました。今回の犯行は個人的、家庭的な恨み、不満が背景にあるように思え、動機がはっきりしない「粗雑な犯行」に及んだといえるかもしれません。「粗雑」という意味では、警備体制の不備、油断もそうでしょう。専属のSP、地元の奈良県警から数十人の警官が動員されていたそうです。犯人がうろついていた安倍氏の背後にスキがあったのに、警戒が不十分でした。専門家は、「後方が開いていて、危険な場所を演説に選んでしまった」と。
 
 これらが第一段階の「粗雑さの連鎖」とすれば、第二段階の「粗雑さの連鎖」は各国首脳からの弔意の表明にも見られます。こうした事件に対する弔意は外交辞令にしても、その国はどうなっているのかと、考え込んでしまいます。安倍氏は7年半に及ぶ長期政権で、活発な外交、安全保障強化を特色としました。中でもトランプ前米大統領、プーチン露大統領とは、個人的にも親密な関係を築きました。(つづく) 
 
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