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2022-06-17 22:33

韓国の対日・対中関係について

真田 幸光 大学教員
 ユン新政権から韓国の新しい駐日大使に任命されたユンドンミン・元韓国国立外交院長は知日派で知られている。ユン政権は、「駐日大使の最も重要な業務は韓日関係の改善である。大使として関係改善に重点を置くと考えている」との考え方を示している。また、ユン・ソクヨル大統領は6月9日、今月末にスペインで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の場で、岸田首相と会談する方向で準備をしているとコメントしている。5月に就任したユン大統領は対日関係の改善を訴えている。また、韓国政府系金融機関である韓国輸出入銀行の対外経済協力基金は6月10日、日本の国際協力機構(JICA)とグローバル開発課題に関連した協力策を協議する為にタイ・バンコクで会合を開催している。この両機関の会合開催は3年ぶりとなり、国際的な気候変動への対応に向けた開発途上国協力事業の発掘、開発途上国の自立的な発展の為の民間部門支援策などを集中的に論議している。気候変動への対応は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大以降、韓国政府の中核的な開発協力分野とされており、同行は会合で、「開発途上国の持続可能な発展の為には民間部門の育成が何よりも重要である。気候変動への対応は国際的な協力が必須条件である為、今回の会合を機に気候変動分野での協力事例が増えることを期待している」とコメントしている。
 
 こうした日韓の国際連携は具体性も出てきており、大変、喜ばしい状況に見える。但し、こうした背景には、昨今の国際情勢を意識、日米韓連携を強化しようとしている米国の影も見え隠れしており、更に、その米国に食い込み、米国から日本に対して「日韓スワップの復活」の為の圧力を掛けてもらおうとしているユン政権の思惑も見え隠れしている。
 
 他方で、韓国の李国防相は6月10日、シャングリラ会合に出席する為に訪問したシンガポールに於いて中国本土の魏国防相と会談し、核開発を進める北朝鮮への対応で協力することを確認した。李国防相は「韓国と中国本土が協力し、北朝鮮が核を保有する費用より核放棄で得られる利益の方が大きいと認識するよう努力する必要がある。中国本土が建設的な役割を果たせる」とコメントした。
 
 これに対して、魏国防相は、「中国本土は、朝鮮半島の平和維持と非核化という目標を一貫して維持してきた。中国本土と韓国は朝鮮半島問題に対する利害を共有するだけに解決に向け協力することを希望する」と応じている。また、今年が中韓国交樹立30周年であることを踏まえ、国防相同士の相互訪問や両国の国防省、軍の交流を活性化していくことで一致している。韓国のこうした軍部の動きは、日米韓防衛連携には影響を与えないのであろうか。筆者は疑問と不安を感じざるをえない。
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