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2022-04-15 23:00

(連載1)ウクライナ危機で露呈する日本のエネルギー問題

倉西 雅子 政治学者
 ウクライナ危機は、ロシアが世界屈指の石油・天然ガスの産出国故に、地理的に離れている日本国に対しても、深刻なエネルギー問題を突き付けることとなりました。エネルギー自給率が著しく低い現状にあって、エネルギー資源の国際価格が上昇すれば、一般家庭の家計や企業経営を圧迫しますし、貿易収支の一層の悪化も懸念されます。それでは、ウクライナ危機がもたらすエネルギー危機に対して、日本国は、どのように対応すべきなのでしょうか。先の福島県沖地震では、頼みの火力発電所も故障事故を起こし、電力供給不足から広域的な停電をも招いています。今日、国際情勢であれ、脱炭素であれ、資源の枯渇であれ、エネルギー政策は、ポスト・ウクライナ危機の時代をも見据えた重要課題となりつつあります。
 
 今般のエネルギー危機への即応という側面では、たとえ反・脱原発論者からの強い反対(加えて、ロシアがウクライナの原子力発電施設を攻撃・占領したことから、有事における原発リスクから反対する声も…)があったとしても、現在、発電停止状態にある原子炉の再稼働の促進が、最も速効性の高い対策であることは論を俟ちません。発電施設を眠らせているよりも、原子力規制委員会による安全性の確認を急ぎ、再稼働させれば、当面のエネルギー危機は大幅に緩和されます。一方、中長期的な方針としては、アメリカも既に高速炉の開発に乗り出しているように、より安全性が高く、かつ、発電効率や資源の有効利用に資する新たな原子力技術の開発も(核融合技術も含めて…)、日本国のエネルギーの安価かつ安定的な供給、並びに、エネルギー自給率の向上に繋がることでしょう。
 
 原子力の利用が有力視される一方で、折しも、ウクライナ危機以前から、世界の潮流は脱炭素へと急激に流れています。この文脈にあっても原子力の利用は提唱されてはいますが、その主流として期待されているのは、再生エネルギーの普及拡大です。日本国の基本的な方針も、メガ・ソーラーや風力発電所のといったさらなる再生エネルギー施設の建設促進なのでしょう。しかしながら、これらの発電方法には、以下のような問題点があるそうです。
 
 第一に、火力発電がエネルギー資源の調達に脆弱性を有すると同様に、太陽光発電や風力発電にも、部品の輸入依存という問題があります。しかも太陽光発電パネルにはレアアースも使われていますので、価格競争における中国系企業の絶対的な優位性に加え、原材料における中国の’独占’により、中国依存を余儀なくされます。(つづく)
 
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