国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2021-08-06 22:30

(連載1)デカップリングに歩を進める中国

岡本 裕明 海外事業経営者
 配車サービスの滴滴(DiDi)への締め付け、オンライン教育企業のTAL、New Oriental、Gaotuといった米国上場教育企業のNPO化計画、そしてテンセントが出資するフードデリバリー会社の美団には独占慣行の疑いと給与待遇面で当局の調査が入っています。アリババやテンセント、京東など中国を代表する大手企業の株価も高値から約4割下げ、なお下げ止まりが見えず、投資家が手を引き始めているのが見て取れます。一体中国で何が起きているのでしょうか。
 
 私が見る習近平体制は「敵の力をそぐ」に尽きるとみています。ここに至る手法は毛沢東が大躍進から文化大革命に至るまでの流れに似ています。習氏の場合、それまでの融和路線、国際協調路線から一気に独自路線に突っ走りました。氏がトップにたった2013年頃から数年は派閥内の争いが激しく、特に夏の北戴河会議では長老との関係に苦心してきたことも事実です。それから年月が経ち、長老が歳をとってきたこともあり、習氏のポジションが有利になったこともあるでしょう。2020年に北戴河会議が開かれたかどうかは定かではありません。開かれなかったとしたら異例です。この会議はそもそも非公開であるため、漏れ聞こえてくる話で開催の様子が分かるのですが、昨年は何も漏れてこなかった、つまり、開催されなかったのではないか、とされるわけです。では今年はどうか、といえば常識的には行われるはずです。中国憲法上、自身の3期目の人事と首相の李克強氏の任期が23年3月までで、その後任の話をする必要があるからです。李氏については時間的には1年半以上もあるのですが、党内派閥の整理から始めるにはそれぐらい時間がかかる、ということかと思います。ただ、「習近平、派閥を相手とせず、よって北戴河会議は今年もない」という分析もあるにはあります。
 
 一方、自身の任期については終身ないし、あと5年かける3回、すなわち15年など様々な見解が飛び交います。15年説というのは同国の一部の中期計画がそうなっているからというのですが、中国指導者の最高齢が鄧小平氏の85歳なので自身の年齢に合わせているという見解もあります。いずれにせよ習体制の足場固めに入っているとみてよいと思います。
 
 だいぶ前ですが習氏の唯一の敵は国内かもしれないと申し上げました。その後、アリババの金融子会社のアント社の2日前の上場中止命令、滴滴の当局の警告を無視した米国上場に対する仕打ちなどでわかるように、政府は資本の力をベースに拡大路線を取る私企業を本気で潰しにかかります。これは金を儲ける⇒共産党の考え方と相反⇒党支配に於ける不穏な分子⇒資本家思想を完全抹消という流れを想定した展開かと思います。(つづく)
 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会