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2021-08-05 14:29

今の国際情勢のもと日本の立ち位置をどう取るか

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 専門誌『外交』の最新号に、通産省出身の2人の論客、細川昌彦・明星大教授と津上俊哉・日本国際問題研究所客員研究員が論述を載せている。前者は、1950年発足のココムについて書いている。資本主義の主要17か国が参加し、共産主義諸国への軍事技術、戦略物資の輸出規制、禁輸を目的とした組織だ。現在、それを引き継ぎ新しい国際貿易管理レジームが作られつつある。同じ先進国間でも、ルールの条文内容をできるだけ明確にして裁量の幅を狭めたいとするグループと裁量の幅を広く取ろうとするグループに分かれる。前者は経済力のわりに国際政治での力の弱い日本、後者は力のある米に代表される。

 日本は1987年の東芝機械ココム事件で、日本から輸出された工作機械がソ連の潜水艦のスクリュー音を下げることに貢献している。米からそう主張されると、日本は有効な反論ができなかった。独自のインテリジェンスを持たない日本は、それを有する国際政治力のある国から疑いを突き付けられたら、それを覆す材料がない。ならば、日本は想定される運用のルールをできるだけ条文などに明確に示し、その手続きが適正であることを持って「無実」の証明にするしかない。そうしないと日本企業は正常な経済活動が阻害されることとなる。

 もう一つの論述では、津上氏は「経済安保論が招きかねない自由貿易体制の崩壊」の標題で、米のハイテク冷戦政策、人権問題とのリンク、中国のそれを受けての半導体国産化政策。米中、さらに中国と西側の相互不信は、自由貿易体制を急速に縮小させている。「貿易立国 日本」はその下でも生きてゆけるのかと述べて、ITやデータは、米中対立の主戦場であり、もはや「デカップリング」の趨勢は動かしがたい。「相互信頼」が失われた以上、それ以外の領域についても、今や我々にできることは自由貿易体制の縮小を少しでも遅らせ、なだらかにすることだけだ。今やG7のGDPの合計は世界の半分以下、四半世紀前、日本の貿易黒字が、GDPに占める割合は4%を超えていたが、今はほぼゼロだ。そして、そのことは「日本は輸出なしでも、1億2千万人を養っていける」ことを意味しない。

 G7サミットの後、開催されたNATO首脳会議の共同声明で、中国を「体制上の挑戦」と決めつけ、厳しく対決姿勢を打ち出している。日本も、尖閣、東シナ海、香港、ウイグル問題など今の中国の自分勝手な行動を改めさせる動きは賛成だが、そのやり方、中国の体制変化を求めるやり方は妥当だろうか考えさせられてしまう。中国はこうした挑発には益々、強硬姿勢で対応してくることは目に見えている。日本は、中国が南シナ海で動き出したとき、米に口を酸っぱくしてその危険性を説いた。しかし、以前の米は笑って見過ごしていた。同じ西側の国でもドイツなどは、半身の構えで、裏で中国におもねっているようだ。肝心の主役の米もいつ態度を豹変させるかわからないのだ。前科はあるのだから。回顧するに、日本は戦後の外交の中でも、米に追随ばかりしていたわけではない。一つの例は、田中総理が日中国交を果たした後意気揚々と、ジャカルタ、バンコックへ行き、そこで激しい反日デモに遭遇した。その後、総理となった福田赳夫総理は、田中の失策を挽回し、1977年東南アジア訪問時にあの有名な「福田ドクトリン」を打ち出した。大規模なODA、それに付随しての直接投資で、ASEAN諸国の発展に大きく寄与したのだ。
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