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2021-08-01 13:05

台湾映画「返校 言葉が消えた日」見ての感想

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 今、台湾映画「返校 言葉が消えた日」が上映され始めている。細かい筋書きは、ネタばれになるのでここでは触れないが、国民党独裁政権下、台湾の人々の自由が束縛されていた時代の物語だ。今中国大陸で行われている言論の自由弾圧を、一般人へも皮膚感覚で教えてくれる教材だ。
我々は今日本における言論の自由はじめ、いろいろな分野での自由を謳歌しているが、これがどれほど尊いものかよくわかる映画だ。

 米国は、様々な見地から70年代に台湾を切り、中国大陸へとその相手を切り替えた。その際、この問題での一番の仕事仲間であった日本を裏切ってだった。当時の佐藤政権は、国連での台湾残留の手配に大車輪で取り組んでいた。台湾の当時の外交を知る人たちはいまだに、佐藤政権の台湾への温かい、真剣な心情を忘れておらず、佐藤栄作総理には感謝をいくらしても足りないという人もいる。佐藤総理は、現職の総理としても台湾を公式訪問している。蒋介石夫人の宋美齢氏も同席するという当初の台湾側の話なので、佐藤栄作夫人も日本から同伴した。ところが何があったのか知らないが、突如宋美齢氏は米へ飛んでしまった。佐藤総理夫妻はバツの悪いはめになったが、佐藤夫妻は大人の対応で収めた。この件でも、台湾の外交当局は、佐藤総理に頭が上がらないのだ。

 蔣介石総統は1975年に亡くなったが、日本は大陸中国との交流が始まり、みなそちらに関心が行き、台湾は忘却のかなたにあった。佐藤総理は、弔意を表すため急遽台湾行きを決めるが、当時日本と台湾の間を飛んでいた日航の子会社の切符はとれず、米国のノースウエスト航空に頼み込んで席を確保した。佐藤総理は「人事の佐藤」と言われるほど、人の仕事ぶりをよく見ていた人間だが、この時、同伴者としては、当時党内で税制のドンだった山中貞則議員を指名した。同議員は、台湾出身の兵士への恩給問題など、いろいろ台湾の人々のため真に頑張っておられたことが後から知れた。佐藤総理は、本当によく見ておられたのだ。

 佐藤総理の兄の岸総理も、引退後は、民主と自由主義の国の連携を目指し、台湾との交流に熱心だった。日本の各界の大物を取り込むことに熱心な当時の中国は、岸総理の大陸訪問をしきりに勧誘してきていたが、岸総理は、頑として訪問はしなかった。安倍総理も書はよくされるが、祖父の岸総理のはずば抜けており、多くの中国人がその真筆を欲しがったのだった。今また、国際場裏で台湾に焦点が当たりだしてきているが、今後どう進展してゆくのか、連邦制の下、大陸と台湾が共存して行くのか、まだまだ時間の経緯が必要な問題だ。
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