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2021-07-10 08:01

最近の中国問題についての考察

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 最近の中国の動向からわかることは、中国は主権の観念と内政不干渉の彼ら特有の規範に縋り付いているということだ。狭い国益を横において、見かけだけでも国際社会への公共財を真に提供しようとの意思はないとみるべきだ。もちろん、ワクチンの提供、一帯一路での開発途上国への各種便宜供与など、外から見ると恥ずかしくないのかといいたくなるような自国の利益追求のオンパレードだ。

 最近内外の雑誌などで、この中国問題についての特集が多くなった。筆者が目を通した、文芸春秋8月号の特集「中国共産党の野望と病理」、東亜7月号の特集「米中接近50年の功罪を問う」は充実したものだった。詳細は是非読者の皆さん自らお読みいただくとして、特にこれだと筆者が考える記事を取り上げて紹介する。

文芸春秋からは、二階俊博自民党幹事長へのインタビューだ。今の菅内閣の支持率低下について、「心配ない。不満の受け止めるのが政権与党の宿命だ」、聞き手がコロナについて、中国は「マスク外交」や「ワクチン外交」を展開する前に、世界に向かって「迷惑をかけた」と一言謝れば、中国にたいする印象が変わると思う。それに対して、親中派である二階さんが、「そのおだてには乗らない。私は中国とそれほどしたしくはありません」「いつの時代も中国を嫌う人は一定数いるものですよ。彼らに言いたいのは、『じゃあ中国なしに、日本がやっていけますか?』と。いまや中国はアメリカを抜いて、日本にとって最大の貿易相手国となっている」、「コロナが落ち着いたら、私は訪米する」「日本は得てして、独りよがりで良いか悪いかを考える癖がある」「米中、日米、日中などそれぞれの関係性を踏まえたうえでどう振る舞うか、総合的に日本の役割を考えていくべき」とバシッと言った。今の日中問題を解きほぐすには、この言葉に尽きると筆者は思うのだが、皆様はどうお考えになるか。

 もう一つの記事は、東亜7月号の、国分良成・前防衛大学長の巻頭言「キッシンジャー氏との会食」で国分氏は、「中国は今巨大化しつつあるが、今日の中国を引き上げたのは貴方ではないのか」と問いかけたところ、キ氏は一瞬で鮮やかに「それは違う。中国が台頭したのは、自分自身がそれを強く望んだからだ」と切り返してきた。国分氏は述べる「キ氏のこの言葉の中に、今後の我々の対中姿勢を考える一つのヒントがあるように思う。今日、われわれは中国の内外政策をありとあらゆる角度から批判している。山積みの課題を抱える中国を批判するのは簡単だ。だが外からいくら批判しても、内部に変わる要素がなければ変わらない。事物は基本的に内部から変化する。つまり、われわれが中国の内部の琴線に触れるよう批判の仕方を工夫しなければ、中国は変わらないのではないか」。傾聴に値する言葉だと思う。
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