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2021-06-05 08:40

ある中国知識人の最近の国際情勢などへの見方

中山 太郎 団体非常勤職員
 コロナ騒動で人的接触が難しくなっているが、ある中国の反体制派の知識人と会うことが出来たので、その述べるところご参考までに披露したい。筆者の半世紀以上の中国との付き合いで、貧しかったころの中国は、日本への留学生が死亡しても、遺族は金銭的に日本への渡航が困難で、留学生の日本側関係者や地域の役所の担当者が、多くの場合身銭を切ってなどして葬儀を済ませ、その遺骨を遺族の方へ送り届けるなどした。中国は、そうした場合でも時により厳格に骨壺を開けさせられたりした。今起きているのは、留学先の東京で、意識不明の重体になっている娘のため、中国を出国しようとした父親が空港で公安当局から飛行機への搭乗を妨害され来れなくなっている。この父親、唐吉田氏が、反体制の意見を持っている人物であるからのようだ。以前は金がなくこれなかったが、現在は政府へ反対意見を持つ人間への冷酷な取り締まりだ。

 こうした意味で、この反体制派との会見場所や詳細は省略する。同氏はさすが知識人らしく、報道の制限の中でも西側への幅広いニュースソースを持ち、その報道への貪欲さは西側の人間がかなわないほどだ。今の習近平体制は、米国の理不尽な言いがかりのおかげで盤石だという。習近平は、一般の中国人からはその環境対策、食品安全への目配り、汚職への厳しい取り締まりなどで人気はあるそうだ。ただ、以前根強くあった、米への崇拝、あこがれの国という空気が大分薄くなったそうだ。米への軽蔑、怒り、その一方、恐れなどが入り混じった感情だそうだ。勿論、西側の国と同じように政府への感染症対策の不満、コロナ騒動からくる経済不安などあることあるが、怒りの対象が米国になったおかげで影が薄くなりつつあると笑って述べていた。

 米は、民主主義対専制政治の対決と述べているが、中国人に言わせると「民主主義」は、金持ち国の「贅沢」だとも言う。バイデン大統領は、半導体とサプライチェーン整備に力を入れているが、西側の報道では、その世界最大手である台湾のTSMCはアリゾナ州での工場建設を大きく取り上げているが、同社は、中国の南京でも新規投資を行うこととなっているのだ。確かに、バイデンは前政権の台湾重視政策を踏襲しているようにも見えるが、まだ政権発足から日が浅いので、これからどうなるか見守る必要があろう。また米政府は、日米韓での東アジア安全保障体制に狙いを定めているようだ。日本の「歴史問題」、「徴用工問題」、「輸出管理問題」など最終的には日韓双方に圧力をかけて米に影響する安全保障問題にまで害が及ばないように諮るのだ。米韓の間では、半導体(サムソンなど)、ワクチン製造などでの協力、グリーン・ニューディールでの連携が話し合われているようだ。

 今日本では、日米豪印のクアッドが大もてだ。しかし、インドは大国だ。一方で中国との国境における軍事対峙をしつつ利害を共にするパートナーでもある。上海協力機構、AIIB などでの参加国でもある。後者には英国も参加している。また、台湾有事の際に日本が無条件に米の軍事にコミットすることには、日本国内での多大な困難がある側面を忘れてはならない。
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