国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2021-05-18 18:24

(連載1)混沌とする中東情勢の向かうところ

岡本 裕明 海外事業経営者
 私の経営する東京のシェアハウスに住む若い女性2人はパレスチナ難民キャンプへの支援活動に行くのを待つ日々です。コロナでその渡航は延びに延びているのですが、今週にその渡航が決定したと連絡がありました。しかし、報道の通り、パレスチナとイスラエルの間で激しい争いが始まっています。私はその2人が本当に渡航できるのか不安で本人たちには今どういう状態にあるのかもう一度、よく確認した方がよいと再三連絡しています。
 
 パレスチナには二つのエリアがあります。一つがヨルダン川西地区と呼ばれるもので私はカナダに長いのでウエストバンクという呼称がよりしっくりきます。もう一つが今回問題になっているガザ地区です。ガザ地区は地中海に面し南北50キロ、東西5キロ程度の細長い土地で総面積は東京23区の6割ぐらいでそこに現在イスラム系の人が約200万人居住しています。経済状態は非常に悪く、また地中海に面していない他の三面はイスラエルが厳しく管理し、海側も監視下に置かれています。ガザへのエントリーポイントも総数では6カ所しかなく、そのうち大半は現在閉鎖中という状態にあります。パレスチナの歴史を述べると大変なボリュームになるので割愛しますが、このガザ地区はイスラエルとの1993年のオスロ合意でパレスチナの自治区となり、2005年にはイスラエル軍とイスラエルの入植者が退去し現在の状態に至ります。ただ、それ以降も頻繁に自治区とイスラエルの間で交戦が行われています。
 
 今回の事件もその一環ではありますが、いつもより緊張感をもって考える必要があります。それは暴発するイスラエルとより強硬化するパレスチナを誰が仲裁するのか、であります。イスラエルがトランプ政権の時に相当緊密な関係となったのはご承知のとおりです。また政権末期にはイスラエルが中東諸国と次々と国交樹立したのも記憶に新しいところです。仮にトランプ政権が継続していれば中東の雄、サウジアラビアですらイスラエルと国交を結ぶ可能性もなかったわけではなく、それぐらい外交的にイスラエルは攻め込んでいました。もちろん、その背景にはネタニヤフ首相の存在があり、氏のカリスマ性すら持ち合わせる剛腕を見せつけたわけです。
 
 ところがトランプ政権が敗北したとたん、アメリカからの熱量は一気に冷めるのです。もちろん、バイデン氏は反イスラエルではないでしょう。事実、ブリンケン国務長官の義父はナチス強制収容所に入れられながらも生き延びた方です。ただ、個人的に支援したいとしてもアメリカの外交姿勢がすっかり変わってしまい、ネタニヤフ首相からすれば「頼れない」という判断をせざるを得なかったとみています。(つづく)
 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会