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2021-04-22 22:09

(連載1)高まる中国の台湾侵攻への警戒感

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 「中国の脅威」が叫ばれている。だいたい中国という共産主義国を、アメリカやEUのような民主主義国の中に入れるという試みそのものに無理があったのである。改革開放経済を資本主義であるとか言っている人がいるが、そのような幻想を持っていること自体が大きな誤りである。資本主義とは、資本が新たな資本を生むということであるが、それは政治から独立した自由主義が存在しなければ成立しない。もちろん、健康に害を及ぼすなど外部不経済になる事業などに関しては政府の干渉を受けるが、その運用はしっかりとできていなければならない。つまり法の支配が確立されており同一の条件の中で「自由に競争できる」ということが必要である。
 
 残念ながら中華人民共和国には基本的に政治権力から独立した「自由主義経済」は存在しない。中国の経済は「社会主義政治」に「市場経済」を足しただけの経済制度であり、現在も中国の憲法には共産主義が標榜されている。つまり、市場経済システムを導入した社会主義ということでしかない。その本質を見誤ったまま中国に投資し、中国から利益を得ようと思っている人々が、そのまま中華人民共和国という「モンスター」を作り出したのである。正直に言って、そのような人々は責任を感じるべきではないか。
 
 その結果、現在も中国は「国際法」「経済の自由」「経済や相場に対する政治の介入」を平気で行っており、民間企業はそのことに注意しながら「賄賂」を払い政府との関係を注意深く続けている。そのようないびつな貿易慣行が国内経済でまかりとおるだけでなく、発展途上国に対して軍事優先と債務の罠を仕掛け、99年間の租借地を軍事的に占領するなど、膨張的だ。
 
 その中華人民共和国が、台湾に牙を向けている。台湾と中華人民共和国の問題は複雑である。基底には、「内戦」か「独立戦争」なのかという国際法的な問題が存在する。国共内戦がそのまま継続し、そしてそのまま現在に至っている。李登輝総統や陳水扁総統の時代に、台湾の人々の間では、大陸の主権を夢見るのではなく台湾島にアイデンティティを見出す様々な変化があった。しかし、国際的には北京政府が主張する「一つの中国」が支配的な見方となっていて、馬英九相当のように「一つの中国」を肯定して中華人民共和国に近づいた総統もいるのだ。現在は、蔡英文総統で中国からの独立を宣言するということを模索している。(つづく)
 
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