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2007-07-16 20:11

戦前の日本外交の失敗に学ぶ

四条秀雄  不動産業
 ナポレオンは、一国の地理を把握すればその国の外交政策が理解できると語ったそうですが、日本外交もかなりの部分で、地政学的な制約を受けているように思われます。明治維新から始まる大日本帝国は、その前半では米英の支援の下、トントン拍子に「世界五大国」の一国として国際連盟の常任理事国にまで登りつめたものの、その後半では米英と対立して、徹底的な破壊によって消え去り、汚名と共に歴史に記される存在となりました。

 日本は、同じ失敗を繰り返さないために、この大日本帝国の教訓に学ばないといけません。それは次のようなことでしょう。第一に、大国幻想を捨てないといけません。明治維新以来の成功した歴史は、米英の援助の下で可能となったもので、独力のものではなかったという点を冷静に認識するべきです。大国とは、必要な資源を独力で確保でき、かつ戦争を続ける時間を引き延ばすことのできる国です。今日の日本は経済大国であり、資源の動員力という点では大国ですが、その前提にある市場を日本だけで維持することはできません。過大な人口と領土の狭小さも持久戦において不利です。

 第二に、世界的な大国を敵に回さないことです。戦前の日本は、独ソ伊日の「四国協商」を想定して米英と対立しましたが、独ソ戦によって構想が崩壊し、窮地に追い込まれました。新興国には勢いがありますが、その動向についての予測可能性は著しく低く、新興国と手を組むことにより世界的な大国と対立するのはリスクが大きすぎます。

 東アジア共同体構想について、アジアでまとまるという考えは理解できますが、一部では反米感情も伴って喧伝されています。そうなれば、再び戦前の二の舞になる可能性も否定できません。東アジア共同体構想がそのまま反米の砦と化することはなによりも避けねばならないことです。

 日本は、地政学的に、覇権国から「中国への踏み石」として利用されやすい場所にいます。中国の台頭は、日本を再度地政学的波乱へと引き込む力を生み出しています。日本は、このような荒波を乗り越えるための賢明な外交戦略を必要とする時代にきているのではないでしょうか。そして、その際再びナポレオンの言葉に立ち返って、将来の日本外交の参考になる国々を探すと、「ユーラシアで対称関係」になる英国と北欧が存在することに気づきます。親米的で開放型の英国的外交と中立的で平和構築関与型の北欧外交が、日本外交の選択可能性のある二つの姿と見なせるかもしれません。
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