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2021-03-18 09:00

エズラ・ボーゲル氏を偲んで

中山 太郎 団体非常勤職員
 昨年の12月に、米の著名な東アジア研究者のエズラ・ボーゲル氏が90才で亡くなった。同人の東アジア研究に果たした功績を思うに感謝しきれぬものがある。60、70年代、日本は今思うに黄金時代であった。経済発展に意気軒高たるものがあった。そんな夢みたいな時代もあったのだ。その時代の日本を世界に広宣してくれたのが、79年刊行の同氏の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」だ。日本を評価し世界に知らしめてくれたのだ。日本人のあるものは「いやいや、あれは米国のインテリ特有の褒め殺し作戦だ」などと言う者もいるが筆者はそうは思わない。同氏は日本を真に評価し米社会に少しは見習えと賞揚したのだ。

 その後同志の研究は中国に移り、中国南部、広東省の経済発展に目を付け、いち早くそれを大々的にプレイアップした。同氏は日本語も中国語も堪能で、多くの欧米の研究者の漢字恐怖症的なところは一つもなかった。日本も中国も大好き人間だった。東アジア、ひいては世界の平和と安定のためには、日中関係の重要さを常に説いておられた。真の一流の学者である同氏は、自国米社会への批判を常に持っておられた。当時の日本の進出に対する米のエリート層の焦り反感、それは今や中国へと移ってきているのだが。日本の一部の人たちの中国兆発、靖国神社参拝など厳しくとがめてもいた。

 一方、中国対しても、日本の戦後の平和的な発展を認めようとしない態度を批判してもいた。中国の反日的態度を改めるべきだとも語っておられた。日中戦争研究についても日本と中国だけではなく、国際的な会議の提案を行いそれを実施した。この会議は、日本や米のみならず、中国、台湾でも行われた。参加者も英国、ロシア、香港、ミャンマー、フイリッピンからこられた。同氏は広い歴史的事実を基点においた研究を提唱した。国際的な視点のみならず、同時に日中戦争当時の中国の地域政権との関係を重視せよと述べていた。中国は広い、言語さえ統一されていないのだから、ましてや社会文化においてもだ。日本と当時対峙していたのは国民党であり、今の中国共産党が宣伝している彼らが日本をやっつけたというのは間違いだとも述べていた。同氏は、ハーバード大退職後、2011年「鄧小平の自伝」を刊行した。これは、米や中国でベストセラーになった。彼は、鄧小平の慎重な、かつ賢い中国の対外戦略をほめ称えた。これは、その背後に現政権への批判が伺える。

 東京にオリンピックが決まったとき、シンポジウムで日本におられたが、皆が「安倍さんは運が良い、これで政権は万々歳だ」などと述べるのをしり目に、「歴史を顧みるに世の中常にスムーズにはいかないものだ」と述べたのが印象に残っている。ソ連時代にアフガン侵攻に腹を立てたカーター民主党政権が、モスクワ・オリンピックボイコット運動を起こし、日本やドイツが賛同したが、当時の米の最大の同盟国たる英国はちゃっかりと、参加していることをも話しておられた。今、来年の冬季北京五輪ボイコット運動も動き出しているが、同氏はこれに賛同しないと思われる。
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