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2020-10-28 11:25

(連載1)来るべきデジタル通貨移行に向けた課題

鈴木 馨祐 前外務副大臣
 中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)に関して、10月9日付で主要中央銀行グループが報告書「中央銀行デジタル通貨:基本的な原則と特性」を公表し、また同日、日銀が取り組み方針を公表したこともあり、かつ13日のG7蔵相・中央銀行総裁会合においてもCBDCへの言及があったことで、様々な方面からの関心が高まっています。今後、日本においても検討が進められていくわけですが、大きな方向性についての私個人の所感を述べさせていただきたいと思います。
 
 まず、世界の変化のスピードを考えれば、将来的には確実に現金からデジタル通貨への移行は避けられないということを我々は認識する必要があります。その前提の中で、どのようにして考えられる課題を解決していくことができるか、そして、今の金融業界が大きな混乱なくその変化を受け入れることができるか、を考えていくべきです。その観点から今考えるべき視点をいくつか書かせていただきたいと思います。
 
 (1)現状、中国がデジタル人民元の発行に向けてかなり前のめりになっています。かつて「円の国際化」に取り組んだ身からすれば、中国のデジタル人民元が、人民元ということではなくデジタル通貨という側面においてその勢力圏をアジアや途上国において伸ばすことがあれば、これは国際経済の安定の面からかなり大きな懸念事項です。
 
 (2)かつての「リブラ」に限らず、通貨バスケットに根拠を置くデジタル通貨が世界的に普及することとなった場合、円という独自通貨により経済圏として区分され、それ故に様々な経済金融危機の際にその通貨が防波堤となり、かつ為替という調整弁がある中で金融政策によりマクロ経済運営を安定的に行えてきたというこれまでの国家による安定的な経済運営という基礎が崩れるということとなってしまいます。円やポンド、ドルなどの各国通貨でデジタル通貨を発行することで、金融政策の効果が失われかねない、そのようなリスクを最小化することができます。(つづく)
 
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