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2020-10-18 08:45

米大統領選挙とポストINF条約後の世界

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 10月14日付姉妹e-論壇「議論百出」に掲載された大井幸子氏の「副大統領候補討論会『ペンス圧勝』を読む」は、極めて優れた論述で啓発されるところ大だ。同氏が述べるように、まだトランプ大統領の勝ち目は残っているのか、世界の外交へ多大な影響を及ぼす米選挙の帰趨を、目を凝らして注視していかなければならない。民主党が勝利を収め、スーザン・ライス氏などが米外交の要職についた場合、彼女のG2論同調、太平洋を東西で2分することも視野に入れた中国との友好協和への道、などを予感させ背筋が寒いもいがする。

 日本を含めアジアの国々は、本音では、皆経済的には中国、安保では米、の立場がほとんどだ。しかし、米がアジアでの関与をやめれば、中国はその進出を益々激化させることは目に見えている。アジア・大洋州の自由民主の国々は、中国との軍事的対決を望まないし、できない。北岡伸一氏が述べるように「アメリカは中国を激しく批判していても。ある日突然態度を変えるかもしれない」「その場合、中国はただちにアメリカの態度変更を受け入れるだろう」「しかし、日本が急に反中国から親中国に転じても、中国は容易にこれを許さないだろう。地政学的に、日本はアメリカと同一の態度はとれないのである」(中央公論11月号論文)は、傾聴に値する見方だ。

 核大国同志の米ソで合意されたINF条約で、西欧の中距離ミサイルは欧州地域では廃棄され、その後、西側で一応の平和が保たれた。しかし、これには中国は加わっていない。今や米に次ぐ第2位の経済大国中国を除外しての核軍縮は、ばかげた話だ。如何に、中国を核軍縮管理の枠組みへ導いて行くか、これから米はじめ西側各国は頭を捻らなければならない。特に中国の近距離に位置する日本には焦眉の課題だ。中国のみならず、北朝鮮の核も大問題だ。大甘の対応で北朝鮮の核準備をのさばらせた米大統領は、民主党のカーター、クリントンだ。

 知り合いの英国の学者が述べていたが、エリザベス女王も日本の天皇陛下も、各国の主権を尊重し、必ず査証が必要なら取得するし、そうでなくとも旅券を必ず携帯する。外交音痴と言うか田舎者のカーターは、時々旅券なして米を出国し、現地の米外交機関を慌てさせることが多かったそうだ。中国を軍縮管理に導いてゆく手段としては、日本も打撃力を持つことだ。具体的には、ミサイル配備も必要だろう。その場合に必ず起こるだろう日本国内のいわゆる平和愛好主義の人たちの声、「憎しみの連鎖を断ち切ろう」、「国民を犠牲にするな」など国を二分する世論をどう説得するかも大問題だ。
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