国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2020-08-27 21:45

ベラルーシで全国的に選挙不正への抗議行動が拡大

飯島 一孝 ジャーナリスト
 8月9日に旧ソ連・ベラルーシで行われた大統領選で不正があったとして、6選したとされるルカシェンコ大統領の退陣を求める抗議行動が全国的な広がりを見せている。抗議行動の主役をつとめているのは選挙で2位と見られる主婦のチハノフスカヤ氏で、政権側に経済的圧力を加えるため、全国的なストを呼びかけている。これを受けて欧州連合(EU)は選挙結果に改ざんがあったと認定、選挙結果や抗議行動への暴力に関わった責任者への制裁を行う方針を決めた。
 
 今回の選挙もこれまで同様、ルカシェンコ大統領の圧勝と見られていたが、逮捕され選挙に出られなくなった著名ブロガーの夫に代わって立候補した妻のチハノフスカヤ氏が得票を伸ばし、自身の得票が6、7割に上ったと語っている。反大統領派への弾圧が激しくなったため、いったんリトアニアに脱出したが、市民代表らが参加する政権移行のための「調整評議会」をベラルーシに設置する準備を進めている。こうした動きを受けて、国営の車両生産や金属加工の大工場が相次いでストに参加している。また、国営放送の従業員の間でもストが始まっていて、一部の放送が再放送の番組に差し替えられる動きも出ている。
 
 一方、ルカシェンコ大統領は憲法改正後に大統領権限を移譲する可能性に言及したが、即時辞任や再選挙は拒否している。その陰で、大統領と親しいロシアのプーチン大統領に連日電話をかけ、支援を求めている模様だ。プーチン氏はこれまで、ベラルーシとの連合国家構想を推進するため、ルカシェンコ大統領に働きかけていたが、当面積極的な支援は行わず、EU諸国の首脳らと連絡を取り合い、事態の収拾を目指す考えと見られる。
 
 ベラルーシはロシア、ウクライナとともにスラブ系住民が多数を占めている。プーチン氏はこの三カ国を基盤に、旧ソ連のような連合国家を建設したい考えだが、ウクライナとはクリミヤ半島の強制編入問題で依然対立が続いていて、解決の見通しは立っていない。このためプーチン氏は、一番親近感のあるベラルーシをまず連合に加えたいとしており、今後も様々な手を使ってベラルーシの取り込みに動くものと見られる。これに対し、米国やEU諸国はベラルーシを親欧米国家にしようと狙っており、ポスト・ルカシェンコ政権を巡ってロシアと米国、EUとの間の綱引きが活発化する可能性が強い。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会