国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2020-06-29 21:36

(連載1)習近平氏が犯した最大の間違い

岡本 裕明 海外事業経営者
 東アジアの3つの国、日本、韓国、中国は様々なシーンで比較対象になります。今日はこの比較をした上で習近平国家主席が犯した間違いについて検討してみたいと思います。日本でバブル崩壊後に日本社会で起きた様々な変化の一つに情報公開が定着したことと自由度が増したことがあります。日本は80年代までは爆走機関車「エコノミックアニマル号」的な集団の力をテコに驀進していましたが、バブル崩壊以降、個人の尊重がなされ、働き方が変わり、人々は自分の時間と行動を楽しむようになりました。思想についてもより自由度を増したというのが私の印象です。
 
 では韓国はどうでしょうか?韓国も80年代から90年代初頭にかけて高い成長率を誇りました。そして97年の通貨危機を経て一段と国際化が進んでいきます。その間、韓国でもまた様々な自由化の波が押し寄せました。87年の民主化宣言を皮切りに93年には金泳三大統領による文民政治が、また、89年にようやく海外旅行の自由化が実現しました。2000年代には、一時的だったかもしれませんが日本との関係が改善し、サッカーW杯を日本と共催し、韓流ブームを起こすなど開かれた国家をアピールしました。日本はバブル、韓国では97年の通貨危機を経て国際社会の一員としての認識を高めたといってもよいかと思います。
 
 では中国。個人的には08年の北京五輪、10年の上海万博の頃が「世界の工場」として確立した経済的地位がピークだったとみています。つまり日本の89年、韓国の97年、そして中国の08-10年です。特に08-10年の間はリーマンショックの対策として60兆円余りの景気刺激策を実施したことでバブルが崩壊し、今日まで苦しんでいます。日本や韓国を踏まえれば、2010年代の中国は五輪や万博を通じて開かれた中国をアピールすべきでした。国民に自由を与え、国際社会との協調性が重視された国家運営が定着することが本来であればあるべき道筋だったのです。
 
 ところが、習近平国家主席はそうはせず、共産党体制の強化を目指し、対外的には数字を取り繕い、国民には情報を制限し、行動を管理する真逆の国家運営をしてしまったのであります。もしも習近平氏が開かれた中国を標榜し、より民主化を進めていれば世界経済のリーダーシップをとれた可能性があります。が、イデオロギーにおいてアメリカと敵対してしまったのです。(つづく)
 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会