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2020-06-04 23:29

(連載1)民間企業による有人宇宙船打ち上げ成功が意味すること

鈴木 馨祐 外務副大臣
 日本時間の5月31日未明、アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターから、スペースX社が開発した民間宇宙船「クルードラゴン」が有人での打ち上げに成功しました。人類の宇宙探査・開発が新たなステージに突入した非常に象徴的な日となりました。
 
 従来から言われてきたことですが、今後ISS(国際宇宙ステーション)に代表される、多くの衛星が飛び交う地球に近い宇宙空間は主に地上でのビジネスに活用され、今後ますます大きな流れとなっていくと思われます。まさにそこは地上での経済活動に不可欠なデータや通信などを司る空間という意味で、延長されたビジネス空間とも言えます。将来、宇宙開発は技術的に成熟し、打ち上げコストが低廉化することで、今後ますます国家から民間にプレイヤーの中心が移っていくことが予想されることを踏まえれば、日本としては積極的に宇宙への進出をマネタイズしていくべきです。
 
 一方で、これまで宇宙関連技術の中心だった「国家プロジェクトとしての宇宙」は、その中心を月や月近傍拠点をベースにした火星、そしてそれよりも遠い宇宙の探査に明確にシフトしていきます。近年どんどん強まってきていたその潮流が、まさに見える形となったのが今回の米民間企業による宇宙船の打ち上げのシーンだったのではないでしょうか。 そして、このような流れは何も宇宙だけにとどまりません。我々が当たり前のように「国がやるもの」、「政府がやるもの」と思ってきた領域が、今後急速に民間の多様なプレーヤーによって担われる、そんな時代がやってくるに違いありません。
 
 「国民の税金を使ってプロの公務員が行う」ことにこだわらねばならない領域は意外に少ないものです。インフラ整備や医療、あるいは様々な行政サービス、そして途上国支援などについても、民間の技術やノウハウ、資金を活用できる部分については、その活用を積極的に行い役割を担ってもらうことが求められます。そうしなければ、本当に政府が税金を使って取り組まねばならない分野に十分な資金や人材などのリソースを回すことができなくなってゆくでしょう。(つづく)
 
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