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2020-03-04 08:43

日本の中国接近への批判についての考察

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 今安倍政権は、中国の誘いに乗り余りにも急接近し過ぎだった。コロナの対策も中国に気兼ねしたため後手後手となってしまったなど批判されている。日本は米国に依存し、経済は今や中国との取引が一番多くなった。両大国の間を上手く綱渡りしなければならない立ち位置だ。2010年、GDPが中国に追い抜かれ日本は3位に落ちた。まだ3位というなかれ、あれよあれよという間に中国経済は伸びていき日本は取り残されてしまった。今や購買力平価では米を既に抜いているとも言われる。日本は、民主と自由の価値観は米と同じくし、戦後ずっと最大の友好国だ。しかし、途中では色々波風はあったことも確かだ。

 60年安保騒動では、アイゼンハワー米大統領の訪日がキャンセルとなった。その後日本経済は絶好調となり、90年代バブルがはじけだしたとはいえ日本がまだ元気だったころ、クリントン米大統領は世界経済で2位につける日本を封じ込め、中国へ大接近した。その頃、中国で大流行のノンバンク金融機能、証券業務やリースなどを手がける信託投資公司が、特に中国南部の広東省でその放漫経営から債務過多となり経営破綻した時、その頃まだ体力のあった日本の銀行を脅し、金を出させ返さなかったが、それの陣頭指揮をとったのが、習近平の片腕の王岐山だ。彼はその後海南省書記から、SARS騒動の責任を取り詰め腹を切らされた北京市指導者の後釜に横滑りし、北京五輪をマネージし成功させ、中央で今の地位まで上り詰めた。彼は米財務省とは関係がすこぶるよく、その頃は中国は米国債を多量に購買し日本を追い抜くまでとなった。

 王岐山は新天皇陛下のご即位の式典に、中国を代表して参列した。中国にとり常に対米関係が第1位の重要さであり、日本はその牽制、改善、分離などの駒のように扱われ方だ。これは、米の対日方針も同じようなものだ。ある人は、安倍総理が、一帯一路に積極的に協力と述べたのは怪しからんと言うが、米も同じ発言をしているのだ。北朝鮮の拉致問題は安倍総理は口先ばかりで、時が過ぎてゆくばかりだなどとの非難されているが、軍事力で取り戻しに行くのが不可能なら、他の手段を考えなければならい。中国の力に依頼するのも一つで、習近平は安倍総理へ「理解した」と述べている。今米中は激突の真最中だが、何でもありの国際情勢下突然に両者が手を握り合う可能性も無きにしも非ずだ。戦前さんざん苦労した日中関係の教訓は、一度開いた回線は維持しておいたほうが良いということだ。

 米学者の米中、日米のそれぞれの国民の評価は、70年代は日米とも同じ程度に中国へ好感を持っていた。今、米は少し悪くはなったが好き嫌いがまだ50%ずつだが、日本は極端に悪くなり中国嫌いが多い。これは米以外の他の先進国と比較しても目立つ数字だそうだ。それに対し中国の日本への好感度は年々改善されつつあり、現状では、米を抜いた好感度だと述べている。この話を聞いたある日本人学者は自嘲気味に、これは、中国からすればGDPで日本をはるかに追い越し、「日本弱し」ということだと述べる。習近平の対日外交は、米との対立から、日本への接近という方向だが、同時に東シナ海での中国の自己主張の強さは全く緩めていない。鄧小平時代だったらもう少し緩やかな基調になっていたのではないか。米中の対立の構図は日本としては常に念頭に置かねばならないわけで、いつ何時米から日中関係に影を落とす難題を突き付けられるか分からない。
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