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2020-01-21 13:06

中国の新型コロナウイルス感染症

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 今この文章を記している23日の時点で、中国の新型コロナウイルス感染症は世界全体で222人の患者、日本、タイ、韓国でそれぞれ中国から入国した人の発生があり、それはすべて武漢で感染したのではないかとみられること、しかし、そこからの2次感染は今のところないとの報道が出ている。しかし、19日付けの報道では、英国ロンドンの医学の研究所の推定として、武漢及び中国の他地域では1千数百名の罹患者が出ているのではないかとの記事が出ている。思い起こせば、2002年から2003年にかけて、中国南部の広東省を中心に発生したSARS騒動を最初に西側の国がスクープしたのは、現地で研究に従事していたフランス人医師からだった。西欧主要国は、今や経済その他の分野で後発国に追い上げを受け皆苦労している状況ではあるが、こうした基礎分野の研究実践では後発国のまだ及ばない実力を備えている。勘ぐれば、仏はその時、専制政治の中国から色々嫌がらせを受け虐められたので、英国の研究所に情報を流したのではないかとも想像してしてしまう。武漢は、広州と並んでフランスの対中経済戦略の大事なテリトリーで、総領事館も置いている。
 
 SARSにおける中国の隠ぺい体質で一番被害を受けたのは隣接地の香港で、発生当初野放しにされた患者から瞬く間に広がり、発生地の広東省と同数に近い患者、死者が出た。もっとも、中国の数字は実際はより多いのだとも言われている。パニックとなった広東省政府は、広東人の好む野生動物、例えば、ハクビシン、センザンコウなどが怪しいとして、それらの殺処分や、レストランの閉鎖などを行った。今では、こうした動物が発生源とは認められていない。当時、現地に駐在する日本企業関係者は、日本からうがい薬やマスクなどを取り寄せたり、従業員の衛生管理に気を配った。その時、関係者が驚いたのは、当時の地方からの従業員は、うがいという行為が習慣としてないようで、また、日本産の貴重なうがい薬を吐き出すのがもったいないとして飲み込んでしまう者が少なくなかったことだ。日本は歴史問題もあり、欧米諸国のような表面に表立ってのプレイアップ的な支援というのは控えている立場だったが、この時は日本への波及の恐れもあり、日本から国立感染研究所の専門医師が複数派遣されるなど、そのほか現地では手に入らない予防のためのマスクやその他部品を静かにいろいろ供与した。

 日本からの専門医に一度通訳を兼ねて同行し、中国の病院に行ったことがあるが、現場は大変な状況で、中国の医師は、日本の医師に様々なデーターの入ったCD=ROMを差し出し、自分たちではお手上げだ何とか助けてくれと悲痛な声をあげていたのが忘れられない。自分たちも罹患する恐れのなか懸命に患者の命を救おうとする医療関係者の姿はどこの国も同じだとつくづく思い感動した。やがて、首都北京にも波及し、中央政府も本腰で本件に取り組みだした。当時の中国の女傑の呉儀副総理がチームの主席となり、広東省に派遣され、国際機関WHOが本格的に動き出した。同機関には当時日本人の有能なスタッフがいて、広東省でも大活躍だった。これら貢献については、呉儀氏の日本の貢献を称える言葉や温家宝総理の人民日報などでの感謝の言葉にみることが出来る。

 報道によれば、米は既に主要空港で中国からの旅行客への検査を始めたとある。日本も手抜かりはないとは思われるが、厳しい検査を実施すべきで、その際、外野席からの「観光客の減少が心配だ。観光収入が減る」などの声にはめげないことだ。日本へ本格的に波及したした場合の損失はそれどころではないからだ。そして、日本への支援を求められた時には、今の中国が折に触れ仕掛けてくる日米離間策に乗らないよう気を配りつつ、米と情報共有をしつつ、しかし全力で取り組むべきだ。
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