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2019-12-11 11:50

ドアの出入りの際の礼儀作法から考える

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 来日した欧米の学者などが、小生によく、日本の人々は礼儀正しいのに、ビルのドアでのマナーはいま一つダメだと漏らすことがある。今の東京の中心部のビルのドアのほとんどは、自動開閉および回転扉だが、それでも、ビルによりドアを手で開け閉めするところも残っている。そういうところでよく見かけるのは、品の良い欧米の老婦人がドアを開けていて、その横を若者たちが物も言わず次々と通り抜けていく姿だ。老婦人は、ドアボーイとなって、長らく立って待つこととなる。一応世界のマナーでは、そうしたドアでは、必ず自分があけたら自分で必ず正確に閉める、あるいは次の入る人にドアーを明け渡すこととなっている。
 
 思い出すのは90年代の中ごろの北京で、某ホテルのドアを日本の若者が乱暴に開けそのまま通り過ぎたが、そのドアは強く閉まる仕掛けになっていて、すぐ後ろからはいろうとしていた米国籍のご婦人の顔面をしたたかに打ってしまった。その方は顔をひどく怪我され、またビジネスに来ていたのでそれが出来なくなったとして、日本円にして4億円相当の賠償訴訟した。日本の若者は一流企業の駐在員だったが、中国の法律上、訴訟期間の間は出国できなくなり、旅券も取り上げられ、北京での窮屈な生活を強いられることとなった。ご婦人はなかなかしたたかで、裁判所の関係者に金をばらまくとか、記者会見をして日本の若者の乱暴ぶりを訴えた。私もそれに出たが、みんなに配った記事資料に紛れて、なにがしかの金が入っていた。中国の地元の新聞などが取り上げたりした。
 
 だが、さすが米大使館の担当領事はよくわきまえていて、米婦人の横暴ぶり、中国の裁判関係者たちの不公正ぶりを強く批判し、日本側へも公平に対応してくれた。結局は約6か月の北京拘束の後、米婦人へは数百万円で和解をした。その頃はまだ日米には腰の低かった北京のホテル側は、一番のお客の日米の対立に息をひそめ見守り、その後続々とドアを回転扉や自動扉に変えていったことを覚えている。「鬼平犯科帳」など時代小説家の池波正太郎は、日本での戸は、障子や襖のように横にスライドさせるのが伝統的で、それが日本家屋には適しているとして、自分の家を改築した際、全部それにしたことを随筆で述べている。
 
 反体制派の中国知識人は最近、今の習近平体制を批判するときに、「他者が見えない自閉症体制になっている」と述べることがあるが、日本もそうならないように望む。靖国神社の遊就館の以前の展示は、中国、韓国のそれと同じく、悪の米英憎悪一辺倒(中韓は、反日一辺倒)のところがあったが、岡崎久彦氏が大分手を入れ、バランスがとれた今の展示になった。A級戦犯合祀についてでも、前任の筑波宮司の急逝で、転がり込んできたその地位に就任した宮司が、前任者の苦衷も忘れ、その後に日本全体にどれだけの苦労を及ぼしていくかも考慮せず、自分がいい格好をするために決めてしまったとも言われている。中曽根首相時代に世界に誤解を招く合祀を再考して、分祠の方向でいろいろ動き、乃木神社ほか多くのところからの受け入れ表明があった。他のご遺族は皆賛同してくれたが、某遺族のみが強く反対したのでとりやめた。
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