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2019-12-09 08:56

台湾問題について

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 11月29日付け本論壇での「最近の中国動向に関する中国知識人との内話」にて、東京大学の川島真教授が、今の日韓関係は明日の日台関係という趣旨の論考を出していると紹介したが、そのことについて、私の知人より「親日台湾がそうなる根拠を分かりやすく説明せよ」との言葉があった。これについて応えたい。

 川島氏は、若林正丈東大教授などの先行研究なども踏まえ述べておられるのだと思う。今日本は、北朝鮮、韓国、中国から厳しい反日カードを突き付けられ、当惑している状況だ。唯一台湾は親日で少しはほっとする気分でもある。もっとも、中国は対米戦略から、日本へは最近多少軟化の態度を見せている。台湾の前政権の外省人の馬英九時代、対中関係は安定していた。同政権は、米からはF16などの武器購入は受け取っていたものの、中国を刺激しないよう種々気を配った。対日本においても、反日との評価を恐れ、選挙対策もあり、東日本大災害の時には台北の日本政府代行機関である交流協会事務所を訪れ、台湾国内の日本への救援募金受け入れ作業を総統自らおこなうというパーフォーマンスまで見せた。台湾人の祭(草冠)英文総統時代となり、同政権は登場後、対中関係悪化、経済政策の躓きなど、今の韓国の政権のように支持率下落を続けてきたが、それを一夜に変えたのが、降ってわいた「香港問題」だ。

 香港は、明日の台湾だとの合言葉のもと、逆転してきている。台湾は国際的に弱者の立場だ。頼みの綱は、米の国内法たる「台湾関係法」の中の、安全保障について米は責任を持つとの文言だ。日本も近隣の大国で、日米安保の重要な柱だ。しかし、台湾人は心の中で、そもそも70年代米が自国の生存のために、台湾を国連から追い出したりしなかったらと思っているだろうし、中国が本当に台湾を攻めてきた場合、日米両国が自国の存亡をかけてまでして助けてくれるのか疑問だとも考えている向きもあろう。米に裏切られたクルド人たちの今を見守っている状況でもある。国際情勢は一夜にして変わる。誰も先を読めない。こうした中、中国は今、台湾の経済界、学術界のみならず、政界にも秘かに各種の浸透を図ってきている。「領土問題」、「歴史問題」でも、台湾へ、中国との同調を求める動きも強化させてきている。

 台湾のこれから本格化する総統選挙、立法委員選挙において、選挙戦のキャンペーンの流れで、日本への厳しい言説が飛び交う場面もあろう、一部日本における「日本は台湾へ尽くしてきた。台湾は感謝すべし」などの態度は反感を呼ぶだけだ。日本学術界でも、欧米の植民地時代の負の部分を取り上げている。これと同じように、日本の台湾における植民地時代の負で叩かれることがあることも覚悟しなければならないだろう。例えば、台湾南部での弾圧事件「タバニー事件」などだ。
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