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2019-11-29 10:58

最近の中国動向に関する中国知識人との内話

中山 太郎 非営利団体非常勤職員
 訪日中の某中国知識人と会話するところがあったので、そのうち一部をご参考までに次の通り紹介したいと思います。
 
 久しぶりの日本訪問で、自由なネット検索を楽しんでいる。中国ではご存知の通り、今締め付けは極めて厳しい。パソコンなどの機器を使うとすぐ、政府にチェックされてしまうので、真に重要な仲間同士の話は、公園などで群衆に紛れて、立ち話をするしかない。今の中国では自由な学問探求もコントロールされていて、様々な制約がある。政府側でない人間は正常な意見の発言は許されないのだ。今、政府は欧米留学の中国人人材を金、地位を餌に呼び戻しに熱心だが、真に帰ってきてもらいたい人間は現地にとどまっている。海外の会議で欧米の専門家と会話すると、政府間で緊張状態にあるときにこそ必要なのだとして、知識人や学会などの会合を準備し、シンポジュームなど開催を図るが、中国から希望する人たちが来ないとよく非難される。しかし考えてもらいたい。われわれは厳しい政府の監視下におかれ、自分や家族に何時危害が及ぶか分からないのだ。
 
 自分が知る事件では、中国の某国立大学の教授が、欧米の知識人、彼は時には中国のやり方に批判的だが、特別に反中国的な人間でもないのだが、その人と連絡を取り合い、会うために、海外渡航する前日に、30年以上過ごした学校構内で交通事故にあい行かれなくなった。このように、今の中国の公安機関は極めて恣意的に厳しい締め付けを行っている。(小生から、米報道などで注目されている、昨年、政府批判をして、清華大学の教授の職を停職になっている章教授の最近の動向についての質問に)彼は元気だ。我々は、今年秋の四中全会以後、同人への処分は緩和されるのではと希望をもっていたがそれはダメだった。停職は続いている。しかし、それ以上に当局が踏み込まないのは、米はじめ世界の学者などが注目し、支援の発言をしているからだと思う。
 
 米は、トランプ政権以前から、アジアア太平洋へ、外交の軸足を置くスタンスを取り始めていた。中国と米との対立はこれから長く続くものと思われる。中国経済の成長が頭打ちとなる中、米の対中圧力は、厳しいトランプ政権が仕掛けてきた貿易戦争は習近平政権にとり誤算であり、今頭を抱えているところだ。こうした状況下、今まで、国内問題の引き締めの材料として使ってきた対日批判を弱めてきているのだ。日米離間もにらみ、対日微笑外交へ切り替えてきているのだ。しかし、決して反日をやめたわけではない。領土問題などでは、強硬姿勢は変わらず、領海侵犯もやめないということだ。自分が見るところ、米は、対中強硬政策に切り替えたので、日本の位置づけを重視しだしている。日本を手ごまとして使おうとしている。今後日本へ、対中関係で様々な課題を押し付けてくるだろう。これは、日本にとり対中対応のとげとなり跳ね返ってくるので、これからは、苦しいかじ取りが要求される。
 
 日本へきて、多くの日本の知識人は、韓国は今、米中のはざまで苦しんでいると述べる人が多いが、日本もこれから同じ立場になるだろう。日本の人は、国家同士の付き合いでは、永遠の友もいないが敵もいないという言葉を忘れている。我々大陸国家で権謀術策の世界にもまれてきた人間には、これは身についた言葉だ。中国の今までの最大の敵だったロシアは、今や友好国となっている。日本の、中国、日台問題の権威の、川島真・東大教授が某専門誌(注:「公研」10月号での木村幹・神戸大学教授との対談での発言と思われる)で、今の日韓の状況は明日の日台問題だと示唆しておられるが、傾聴に値する見方だ。今の、中国政権において、中国の夢、中華民族の大いなるルネッサンスというスローガンの中で台湾解放は、重要な位置づけだ。これからの米政権は対台湾への支援を強化していくだろうが、日本へも圧力となり、苦しむこととなろう。
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