国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2019-10-16 15:03

(連載1)国慶節に中国共産党を振り返る

岡本 裕明 海外事業経営者
 10月1日に中国が建国70周年を迎え、パレードが行われました。報道によると「儀仗隊が真っ先に掲げて行進したのは、中国共産党の『党旗』。ふだんなら先頭に立つ『国旗』と『軍旗』はその後に続いた」(日経)とあります。つまり、この国は国ではなく、共産党という主義や社会体制が国家を凌駕するということになります。国家とは、「国境線で区切られた国の領土に成立する政治組織で、その地域に居住する人々に対して統治機構を備えるものである」(ウィキ)とすれば今の習近平体制は国境という枠組みを超えて現在の中華思想を無限に広げていくという野心を持っているともいえるのでしょう。
 
 それゆえ、台湾や香港への介入、さらには南シナ海への進出や中国西部でのほかの民族への介入が正当化されるという論理になりかねません。第二次世界大戦前、各国は膨張主義で領土や支配地を増やすことに邁進しました。習近平体制はそれと大差なく、アフリカやベネズエラなどに金や人をつぎ込み、インフラ整備と称し影響力を見せるのは手段こそ違えども戦前の膨張主義となんら変わりないとも言えます。「いかなる勢力も中国人民の前進を妨げることはできない」と習近平国家主席が発言していますが、これはある意味、裏腹な面もあるように感じます。つまり、強権のもと共産党体制を維持し続けなければ国家が崩壊しやすいリスクがあるとも取れるのです。
 
 世界で人々の声が二分化し、妥協ができない社会が生まれつつあります。あのロシアですら、反プーチンの声がごく当たり前のように上がる時代です。その中で情報操作、思想操作で14億の民を共産党という枠組みに縛り上げるのは国民がかつてに比べて生活が改善したことを実感できるからでありましょう。これは経済や個人の富が逆回転をし始めると国家への忠誠が薄れるとも言えます。
 
 忠誠が薄れた場合、国民には二つの選択肢しかありません。国外に移住するか、国家を転覆させることであります。89年の天安門事件は国家が成長期にあった中での事件で、純粋な民主化という運動であり、趣旨は違いますが、強大な制圧力で反体制を掲げた若者の夢は打ち消されました。通常、体制転覆をはかる場合、軍部がその主導力になるため、彼らが何らかの不満を持ち出すきっかけがあれば危険なサインということになります。(つづく)
 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会