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2019-05-08 21:23

(連載1)どうなる、元徴用工訴訟の資産現金化問題

岡本 裕明 海外事業経営者
 元徴用工訴訟に絡み、原告が日本製鉄(元新日鐵住金)と不二越の韓国内資産売却手続きに入ったと報じられています。また、韓国外務大臣の康京和氏が「国民の権利の行使が進行している手続きであり、政府が介入する考えはない」と発言しています。難しい問題ですが、この問題、佳境に入ってきたと思います。菅官房長官は「手の内は明かさない」とし、政府としては何らかの対案を考えているものと思われますが、一連の国家行事が終わった連休明けからの動きが注目されるのではないでしょうか?
 
 ネットなどで多く出ている「対抗策」とは「やられたらやり返す」案ばかりで肝心な日本製鉄や不二越、更には今後も続々と続くであろう日本企業に対する同訴訟の判決、資産差し押さえへの「実害」についての対案は聞こえてきません。菅官房長官も「日本企業の正当な経済活動の保護の観点からも関係企業と緊密に連絡を取りつつ、適切に対応したい」(19年3月25日発言)という趣旨の発言に終始しており、企業側のコメントも「政府と調整している」といったものがほとんどであります。
 
 では企業が本件で実害を被った場合、企業は「負けました」で終わる話でしょうか?当該徴用工問題が発生した主因は国家方針の中の問題であって個別企業はそれに従わざるを得なかったはずです。なおかつ、1965年の日韓請求権協定で日韓政府間で本件は解決済と認識してきたわけです。企業側としては解決されたのだからそれを蒸し返されることはなく、仮にそれが覆されるような事実があるとすれば日本企業側には求償権が日本政府に対してあるととれないでしょうか。私ならこの問題をどうするか、いろいろ考えました。専門家でもなんでもないのですが、こんな手段を考えます。
 
 日本製鉄や不二越など資産差し押さえの判決を受けた企業は日本政府を形の上で訴訟する。それを受けて日本政府は資産処分対象の金額相当を企業側に代わり韓国の裁判所に供託し、個別企業の訴訟による資産の流動化、現金化を防ぐ。ここで元徴用工問題の日本企業対韓国側被害者という構図を日本政府がそれを請け負う形にすり替え、日韓政府間問題にすることで日本政府が考えうる正当な対抗策を打ち出す。供託した資金はすぐに原告に支払われるかもしれないが、日本政府が一連の判決が日韓請求権協定を不当に曲解した裁判であり、日本政府は損失を被ったとして日本で訴訟し、日本国内にある韓国資産の同額差し押さえを行う、というシナリオです。(つづく)
 
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