国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2018-11-28 15:32

アメリカ中間選挙の結果を見ながら

鈴木 馨祐  衆議院議員(自由民主党)
 注目されていたアメリカの中間選挙が終わりました。結果的には上院で共和党が多数を維持し、下院で民主党が多数となりました。結果の詳細な分析を今後していかねばなりませんが、やはり都市部と地方の傾向の差が大きいことや、二年前と比べるとかなり多くの選挙区で共和党から民主党に投票行動が移行した点には留意が必要です。また、かつてと比べて、それぞれの党の候補者の主張が中道から左右の両極に別れてきつつあるということも注目しておく必要があります。

 アメリカは大陸という側面と島国という側面の両方を持つ国で、しかも近隣に深刻な脅威となるような国が無いという環境の下で、政治、世論の振り子が特に国際社会における役割という意味では大きく振れる傾向がこれまでもありました。その意味では、今後アメリカの社会や世論がどの様に動いていくのか注視が必要です。二年前、トランプ大統領が選ばれたのは、基本的にはそれまでもティーパーティなどで見られていた世論の流れの結果であって、トランプ大統領が一人でこうした現象を起こしたのではないということを我々は基本認識として持っておかねばなりません。

 そしてその観点から言えば、これはアメリカに限ったことではありませんが、今のネット社会の下での情報発信の多様化により、「正しい」ということが一体何なのか、情報の「客観性」をどう担保し、どう多くの人が客観的な情報のもとでバイアスをなるべく排して物事の判断を行うことができるのか、という意味において、非常に難しい時代に我々は生きている、ということを考えざるを得ません。従来、ともすれば妄信的に受け取っていた既存のメディアの情報が、実は客観性を欠いていることが多かった、という指摘が極めて正しい一方で、それに替わる答えを我々がまだ持つことができていないのも事実です。また、もしも、従来のメディアへの不信が、さらに信頼性の低いバイアスのかかった見方であったり、場合によってはそもそも事実として誤っている誤報といえるような情報に多くの人を走らせているのだとすれば、それも社会の安定という意味で望ましいことではありません。

 このような時代だからこそ、個人個人が自らの価値観をしっかりと持ち、客観的な情報をもとに正しい判断をするための努力をし続けるということが、改めて重要になってきているのではないか。改めて、そう思うとともに、「正しい」情報のためのコストを誰が払うべきなのか、等々非常に難しい論点が山積していることを改めて感じるところでもあります。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会