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2018-11-06 10:15

日韓は薄氷の関係に

岡本 裕明  海外事業経営者
 徴用工をめぐる韓国最高裁判所の判決に、日本のメディアは大きく反応しました。判決そのものについては報道で十分カバーされているので少し視点を変えて考えてみます。韓国の憲法裁判所が近年、それまでの常識を覆した判決は2011年8月の元慰安婦の個人請求権に関してであります。「韓国政府の不作為は違憲である」としたのです。これを受けて韓国国会は同年9月に日本政府に対して元慰安婦に対する公式謝罪と被害賠償を求める議案を通過させました。時の大統領は李明博で彼は「感情の仮面」を取り去り、対日外交姿勢を急転回させ、竹島に行き、天皇陛下に日王と称し「ひざまずいて謝れ」と言ったことはあまりにも有名であります。

 韓国社会において憲法裁判所の判決は三権分立のさらに上に立つともされ、誰もがその内容に服従しなくてはいけないという枠組みの背景があります。今般の徴用工の裁判には時間がかかり、数日前には朴槿恵政権下の担当官が裁判の「時間引き延ばし工作」をしたとして逮捕されました。思うに朴元大統領もこの判決が出れば自身の対日外交政策に非常に重くのしかかると想定していた節はあるのでしょう。元慰安婦の判決がもたらした日韓関係の悪化は言うまでもありません。同判決を受け、慰安婦像を国内のみならず、海外にも建立し、その勢いが止まらない中、安倍首相は2015年、朴元大統領政権下の韓国と日韓合意をします。この時、慰安婦問題が「最終的、不可逆的に解決される」とし、財団を設立し、10億円の基金をでスタートさせることになったのです。これは世界中が注目し、全ての人がその証人として何が合意されたか理解しています。が、その合意は破られ、財団さえ解散されようとしているのです。

 慰安婦問題の時は当事者が日本政府であったことと内容が内容だけに見て見ぬふりをする日本の方は多かったはずです。ところが今回の徴用工問題は多数の民間企業とビジネスという要素が含まれることからその影響力は慰安婦問題の時とは比較にならないマグネチュードがあると考えています。今回の憲法裁判の内容が国際常識に照らし合わせて無茶苦茶であることは言うまでもありません。勝手な想像ですが、裁判官らは仮に日本に有利な判決をした場合自分たちが血気盛んな韓国人から血祭りにされることを恐れた世論同調型の判決(「国民情緒法」とも揶揄される)であったことは否めません。判決ありきの裁判でした。手法としては今後、国際司法裁判所への提訴もあり得ますが、これは両国が同意しなくてはならず、韓国政府がそれをするとは思えません。(竹島案件でも同意していません。)同意しないのは自国の最高機関の司法判断が仮に覆された場合の威厳の崩壊を気にしているのでしょうか。

 実際の対策としては、徹底的な民間ベースでの事業断絶と情報のシャットダウンをするしかありません。つまり裁判や外交といった公的なプロセスに過大に期待せず、企業が韓国への信頼度を再度検証した上で「コリアリスク」を経営指標に取り込み、毅然たる態度をとることであります。また、今後どれだけ同様判決が出ようとびた一文払うべきではないでしょう。日本政府はそれら企業を守るリーガルシールド(法的防御策)を急ぐべきでしょう。当然ながら日韓の外交は冷たい時代を迎えます。その向こうの北朝鮮も日本に厳しい姿勢を続けているのですから北朝鮮外交云々以前の問題に引き戻されてしまったと考えています。
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