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2018-09-28 09:27

中国人観光客のマナー問題から考える

中山 太郎  非営利団体非常勤職員
 中国外交部が、最近スウェーデン国営テレビで放映されたパロディー番組が中国人を侮辱しているとして抗議を行った。知人の西欧人学者などの話によると、中国人観光客3名が同国のホテルに、予約の10時間以上前の夜中にやってきて、チェックインを求めたので断ると、ロビーのソファに寝かせろと喚いたので、警察を呼んで排除したところ、ホテル前の路上に寝ころび「人殺し」などと泣き叫び、その映像をWEB上に流した。それをみた中国から抗議の嵐が寄せられたところ、同上国営テレビが「観光地の建物内では大便、小便は、いけません。トイレに行きましょう」など番組で放映したということである。

 これで思い出すのは、2000年代初めの、中国経済が上り調子の時、私は、中国第三の都市である広東省広州市に出張したときのことである。スウェーデン外務省高官(中近東アフリカとアジアを担当する女性)が中国人を集めて、声を張り上げて「日本はもうだめです」、「これからは中国の時代です」、「われわれとこれからは手を携えて発展してゆきましょう」と述べていたシーンだ。その後も、2012年尖閣国有問題で、中国で反日デモが大荒れし(その後、判明したところでは、政権反対派が先導したとの説もある)、日本企業、日本料理店など日本関連施設や人間にも多大な被害が出たとき、スウェーデンはじめ西欧諸国の外交官は陰で日本の対応のまずさをせせら笑っていた。中国は、日本の民間人をスパイ容疑で逮捕したり、レアーアースの対日輸出禁止などの措置をとった。その時日本を助けてくれたのは、普段対中国に弱腰だった米オバマ政権だった。米のレアーアースを回してくれたりした。中国人知人が転送してくれたのだが、中国にある独自動車販売店は店の前に大横幕を出し、「日本人は皆殺しだ」、「日本全土を焼き尽くせ」と張り出していた。彼らは、日本をけなし、中国におもねる態度をとっていた。勿論、西欧は、優れた文明人がほとんどであることを知っているし、日本人は中国にも優れた人々が多いことを知っている。日本では、孔子、孟子、老子、司馬遷、杜甫、李白らの古典の言葉がすぐ出てくる人も多い。

 わが国でも中国人のマナー問題では悩まされている。銀座の歩行者天国の路上で子供に小便をさせるとか、富士山麓の聖なる池に禁止しても小銭を投げいれる、景観を壊し、環境に影響を与えるのでその小銭排除に多大なエネルギーを費やしているとも聞く。これで想起されるのは、バチカンがとった方法だ。聖堂を山猿のような中国人観光客が騒ぎまわるのを抑止するため、本堂の前に大スピーカーを置き、英語、日本語も含め、7か国語で、「ここは、人々が礼拝し、瞑想するところです。ご見学は静かにいたしましょう」とやった例だ。中国を名指しだと、抗議などが来て、面倒になるので,one of themで対応するやり方だ。

 最近知人の中国人が心配しているのは、習近平政権の国内の言論弾圧で、今や米国が中国に対して真剣に怒っていることを認識しようとしない党、政府幹部が増えていることだという。安倍総理訪中についても、日本は、中国と同じように米国憎しに凝り固まっているとの理解で、日本は尾を振って、中国に来るのだと考えているということだ。これは最近の日中関係のパターンで期待しそれが裏切られると、一層の日本憎しに立ち戻るという構図である。
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