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2018-09-21 12:24

(連載2)AI時代の到来は時期尚早?

倉西 雅子  政治学者
 加えて、ディープ・ラーニングは、従来のデジタル式のコンピュータ技術の延長線上にありますが、人の脳機能は、時空を離れて同時解析が可能な量子コンピュータの仕組みに近いのではないか、とする説があります。様々な要因や情報を一瞬のうちに統合して判断する能力は、量子コンピュータに期待されている能力ですが、人も、五感を同時に働かせて判断することがありますし、直感や第六感なるものもあります。

 記憶量や解析速度等においてAIは人の能力を遥かに凌駕し、多数の選択肢の中から最適解を絞り込む能力にも優れ、自律的に判断もしますが、可能性が未来に向けて開かれている場合、複雑な要因を同時的に考慮し、過去に存在しない創造的な解を見出してゆく能力は、量子コンピュータ的な頭脳を有する人の方が優っているかもしれないのです。

 今日では、AIと量子コンピュータとの融合を図る研究も進められており、近い将来、AIの中心的な研究領域は、後者に移る可能性もあります。しかながら、それでも、この研究の前には、人の意思の解明という生命科学上の難題が立ち塞がっております。このことは、人類が優先して進めるべきは自ら自身に対する研究であり、いささかオカルト的な響きに拒絶反応が起こりがちですが、科学が人の心や魂の問題にも真摯に取り組むべきことをも示唆しています。今日の量子論の発展は、生命現象の不思議ともリンケージしており、物理学と生物学とのその極限における接触と融合は、今日的な課題でもあるのです。

 以上のように考えますと、現段階でAIを人に替る万能の知的存在として位置付けるのは些か時期尚早のように思えます。むしろ、全面的な人との代替を目標とするのではなく、AIが人より優れている部分を切り分けて、限定的な活用を試みるべきではないでしょうか。そして、むしろ、AIが自我を持たないとする特徴は、全ての人に対する公平な立場、あるいは、‘無私の心’を表すかもしれません。人とは、他者の意思に支配されることを本質的に嫌いますので、AIの、この‘自分がない’という特質をプラス方面に利用すれば、あるいは、一部の貪欲な人々の私利私欲に振り回されてきた人類にとりまして、僅かなりとも救いとなるかもしれないと思うのです。(おわり)
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