国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2018-01-20 20:02

(連載2)中国こそが地域の安定への最大の脅威

鈴木 馨祐  衆議院議員(自由民主党)
 今般の尖閣における行動も、中国にとって何よりも大事なアメリカのアジア・西太平洋における影響力を低下させるという目的、そのために戦略的に必要なA2ADのための布石、あるいはもっと大胆なアメリカのアジアにおける拡大核抑止(核の傘)を骨抜きにすることを狙った戦略としての、戦略核・戦術核を搭載可能な潜水艦の太平洋への安全かつ探知不能な進出への大事な一歩であると考えれば、中国にとっては何が何でも進めておきたいステップであることに疑いの余地はありません。そのような大戦略の前に日中関係改善など、習近平氏にとってはどうでもいい話のはずで、逆に日本の姿勢を見極めようとしているといえます。

 ここでさらに日中融和と日本が思うのであれば、中国は一気に尖閣や東シナ海、台湾に対する攻勢を強めてくるはずです。その観点から、朝鮮半島においても、もっとも彼や中国にとって合理的な結論、つまりは金正恩というリーダーを取り除き、中国の影響力を行使しやすい政権のもとでの北朝鮮の存続、というシナリオを追及すると思われます。中国共産党、あるいは習近平氏としては、トランプ大統領への信任の揺らぎや、パリ協定、TPPからの離脱という動きの中で、多くのアジア諸国において、アメリカの東アジアへのコミットメントという観点での対米不安が高まりつつある中で、これを好機とみて攻勢を強めているわけです。日本はまさにこうした認識に基づいて、誤ることなく外交・安全保障戦略を進めていかねばなりません。

 その観点からすれば、日本が一帯一路構想への積極的あるいは好意的なコメントを出したり、対中友好をアピールするということは、なんら中国の行動を融和的にする効果は持ちえず、逆に、「日本も中国に近づくという方向に舵を切ったのだな」との誤ったメッセージを発信してしまうことで、日米をどのくらい信頼できるかによって、中国との距離感を慎重に図っているアジアの国々を、好むと好まざるとにかかわらず中国のほうに近付けてしまうことになりかねません。このことは日本の国益どころか地域の安定を損なう行為です。

 政府・与党が一枚岩となって、いまアジアにおける、この非常に重要な国際政治の底流を見誤ることなく行動、発信をしていかねばなりません。私も微力ながら世界の政治リーダーに対してこうしたメッセージを正確に発してまいりたいと思います。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会