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2017-09-26 13:35

「太平洋上水爆実験」の恫喝は人類への挑戦

加藤 成一  元弁護士
 最近の北朝鮮による6回目の核実験や、度重なる弾道ミサイル発射は目に余るものがある。そのうえ、トランプ米国大統領の国連での「北朝鮮破壊発言」を受けて、北朝鮮の金正恩委員長は、「超強硬対応措置」をとると恫喝し、さらに李容浩外相は、「太平洋上での水爆実験」との見方を示した。これがもし強行されれば、放射性物質による広範囲な大気汚染や海中海上の汚染が懸念されるが、北朝鮮がそこまで行うとすれば、もはや北朝鮮は「世界人類共通の敵」と見做さざるを得ない。なぜなら、大気及び海は、北朝鮮だけのものではなく、世界人類共有のかけがえのない財産だからである。

 全世界は、このような北朝鮮の暴挙を決して許してはならない。核ミサイルを太平洋に向けて発射し、上空で核爆発させる方法が考えられるが、事ここに至れば、今後は北朝鮮が発射する弾道ミサイルは、いかなるものであれ日米韓三国によってすべて迎撃し撃ち落とさざるを得ないであろう。それは、人類共有の財産である大気と海を放射線による環境破壊から守るためであり、やむを得ないのである。太平洋上での水爆実験は、決して越えてはならぬレッドラインであろう。万一、北朝鮮がこのレッドラインを越えて、太平洋上での水爆実験を強行した場合は、自然環境を破壊する重大な脅威であり、世界人類全体に対する挑戦であるから、米国による北朝鮮への先制攻撃は許容されるべきであろう。

 米国が、北朝鮮を「核保有国」として認めていない現在においても、かかる傍若無人な核恫喝を行っていることを考えれば、もし北朝鮮の核恫喝に屈して対話により「核保有国」として認めた場合でも、北朝鮮がおとなしく核・ミサイルの開発を凍結する保証は全くない。かえって、「核保有国」として堂々とますます核・ミサイル開発を促進し、「核大国」たる地位を武器として、早晩「朝鮮半島からの米軍撤退」や「北朝鮮主導による朝鮮半島統一」を米韓に要求し、これに応じなければ「水爆を使用する」などとさらなる核恫喝を繰り返すことは必至であろう。このように、北朝鮮の核・ミサイル問題は、仮に対話によって北朝鮮を「核保有国」と認めても、決して根本的には解決できず、さらに重大な問題を引き起こす恐れがある。
 
 日本としては、日米韓の連携を一層強め、北朝鮮による「太平洋上での水爆実験」の暴挙を何としても阻止しなければならない。北朝鮮による核恫喝が、日本に対しても、今後ますますエスカレートすることが懸念されるのであるから、そのような事態を全く想定していなかった、今から50年前の1968年の「非核三原則」のうちの、少なくとも「持ち込ませず」の原則は早急な再検討が必要であろう。「核抑止」の観点からすれば、核持ち込みによる「核共有」(ニュークリア・シェアリング)は、「敵基地攻撃能力」の保有よりもはるかに有効だからである。
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