国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2016-10-20 11:10

(連載1)あってはならない二島返還での日ロ平和条約締結

鈴木 馨祐  衆議院議員(自由民主党)
 12月の日露首脳会談に関連して、北方領土、日ロ関係に関する報道が盛んにされています。極めて重要な問題ですので、様々な観点から、また後世から見ても日本の国益にとってベストな判断が求められます。日本の国益から考えれば、二島返還で平和条約締結などという事態だけはあってはなりません。他の二島は継続して交渉すればよいという意見もあるようですが、ロシアが公式な二国間条約すら平気で破棄するという歴史的教訓は、日本が身をもって体験していることです。まさに千島列島・北方領土・樺太は一方的な条約破棄によるソ連侵攻の象徴だったはずです。

 日ソ中立条約を一方的に破棄して、千島列島、北方領土に8月15日以降に侵攻し、多くの日本人が戦争が終わっているにもかかわらず犠牲となった事実は、日本の政治家として忘れるわけにはいかない。戦争状態でない中で日常生活を送っていた罪もない国民が、一方的に他の国家により命を奪われ、またシベリアに連行され、抑留されたという事実は、そして一方的に領土を奪われ、占領され続けているという事実は、国家による犯罪行為という点で、現在クリミアで起こっていること、北朝鮮による拉致と同じです。

 だからこそ、第二次世界大戦以降に起こった「力による現状変更」の象徴である北方領土について、二島返還のみで幕引きがされるようなことがあってはなりません。「法の支配」という共通の価値を世界に主張する日本だからこそ、ここで押し切られて妥協することはあってはなりません。

 そもそも、平和条約締結後に歯舞諸島・色丹島を日本に返還することは、1956年の日ソ共同宣言に明記されているものであって(注)、二島返還をもって平和条約を締結することは、これまで日本が認めてこなかったソ連時代からのロシアの主張のラインを認めることになってしまいます。(注)ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会