国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2016-06-02 10:54

オバマ大統領の広島訪問

鈴木 馨祐  衆議院議員(自由民主党)
 アメリカのオバマ大統領の広島訪問、そして演説、非常に大きな意義のあるものでした。一国民として素直に歓迎したいと思います。私は現在、核軍縮・不拡散議員連盟(PNND Japan)の事務局長を務めています。昨年の8月6日には私自身も原爆で犠牲となられた方々の慰霊と核軍縮関係会議への出席のため広島を訪れたところです。いま我が国の安全保障にとって核軍縮・不拡散は極めて重要です。北東アジアに位置する五か国のうち、3か国(ロシア、中国、北朝鮮)が核を保有しており、また世界的に核軍縮の流れの中で核弾頭の数を逓減させている状況下にあって、その流れに反して核弾頭の数を増加させているいくつかの危険な国のうちの二か国(中国・北朝鮮)があるのが我が国の位置する北東アジアの地政学的環境です。世界で増加している核弾頭の大半が我が国の近傍での出来事、これが国際政治の現実です。

 そして、北朝鮮にしても中国にしても、その核弾頭のターゲットは実質的にはアメリカと日本だと言われています。さらに、小型化の技術、運搬手段のミサイル技術の状況から、アメリカ全土を確実に射程に収め策源地攻撃のリスクからも逃れられるということは現時点では不可能ですから、そのうちでも確実に高いレベルで核攻撃が可能なターゲットは現在のところ日本だけという現実がそこにはあります。唯一の被爆国である日本が、現時点でも世界で最も核攻撃のリスクにさらされ脆弱性が高い。しかもそれに対抗する手段を自国だけでは有していないということは、我々が忘れるわけにはいかない事実です。

 日米同盟の堅持・深化はもちろんのこと、国際政治の中で核軍縮の流れをより強くしていくことが、日本国民の生命や暮らしを守るためには死活的に重要です。国連においても日本政府として積極的な働きかけをしているところでもありますが、今回オバマ大統領がアメリカという国のトップとして広島を訪問し、スピーチを行ったことはこの意味においても非常に重要です。

 「アメリカの核兵器だけがけしからん」といった従来の左派的な発想ではなく、現実的な国際政治のリアリストの観点から、この核軍縮の戦略を日本が主体的に働き掛けていくことが重要です。中国やロシアの中長期的な動向が不透明さを増しており、朝鮮半島についても核兵器が存在する中での現状の変更の可能性も否定できない状況になっています。与党の政治家として、責任ある外交・安全保障戦略を今後もしっかりと進めていきたいと思います。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会