国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2016-05-14 17:00

(連載1)日豪関係強化に向けて

鈴木 馨祐  衆議院議員(自由民主党)
 先週、超党派の若手議員団の団長として豪州を訪問し、シドニー、メルボルン、キャンベラの各都市で各レベルの会談を行いました。TPP、資源問題、潜水艦を含む安全保障問題等、日豪関係が注目を集める中での訪問となり、ダブル選挙、解散の直前にもかかわらず、ビショップ外相、フライデンバーグ資源相、パリー上院議長、スミス下院議長をはじめとする13名の連邦上院・下院議員、メルボルン市長やビクトリア州議会の上院・下院議長、政府観光庁、連邦準備銀行、鉱物資源研究所他豪州の多くの要人と有意義な意見交換を行うことました。

 特に印象に残ったのは、オーストラリアにおける極めて高い親日ぶり。政治家はもちろん、ドライバーや州議会のドアマンに至るまで、日本への旅行に行ってきた、あるいはこれから行く、親類が住んでいるなど、訪日経験を持つ国民が極めて多く、また日本語が第二外国語となっているところもあるとのことで、アジアの中でも台湾に次いで親日国といえるレベルとなっていることは自分にとっても驚きでした。まず、経済面に関しては、オーストラリアにあっては、移民受け入れ等の効果もあり人口の増加が当面続くこと、物価が高いこと、トヨタをはじめとする製造業が人件費の高騰などにより概ね撤退する方向であること、等が特徴的です。従来から脆弱性が指摘されてきた資源への依存から、イノベーション指向、サービス業への転換が言われているものの、実際に転換が進んでいるとはまだいえない状況です。

 ただ、資源景気もあり景気拡大が続いており、消費性向は基本的には高く、特に物価に関しては、シドニー・メルボルン等においては家賃も東京都心の数倍となるなど、相当深刻な状況です。また、気候変動に伴う水不足などは今後顕在化してくる可能性が高く環境問題に関しても当事者たちは深刻にとらえているようでした。こうした中で、自国をSmall/Open Economyであるとし、自由貿易、航行の自由、外国人労働力の積極受け入れといった点においては党派を超えたコンセンサスがあるということに強い印象を受けました。

 次に外交安全保障面では、日本との関係の強化、アメリカとの同盟強化、経済的な中国への高い期待、南シナ海など安全保障面での中国への警戒感、が大きなポイントです。その文脈で、日本が憲法改正や武器輸出三原則の改正により国際社会においてより大きな役割を果たすことに関しては党派関係なく非常に歓迎するといったスタンスであり、特に法の支配や自由・民権などの基本的価値の共有という切り口は広く共有され、日本は事実上アジア地域における唯一のパートナーとの認識が強いと思われます。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会