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2016-05-13 07:39

逃げ切れるか「東京一せこい男」舛添

杉浦 正章  政治評論家
 舛添要一をどう表現しようかと思ったが、一言で言い切る言葉が見当たらない。昔米国が1991年に湾岸戦争に踏み切るかどうかの時に、ある会合で「踏み切らない」と断言していた。筆者は「1月17日にやる」と主張したが「絶対にない」と言い切った。しかし、1月17日に踏み切ったときには、何と「私が言っていた通りでしょうが」と発言、出席者をあ然とさせた。これから言うと「小ざかしい」が適当だが、まだしっくりいかない。そうこうしているうちに今朝5月13日付の朝日新聞に「東京一せこい男」と言う表現を見つけた。これだと思った。川柳欄の<安いから回転ずしに行くのにな>に選者がつけた言葉だ。さすがに茶化しのプロは違う。一言で言い切っている。

 確かにせこいのだ。「やりいか・140円」「甘えび・240円」クラスの湯河原の回転ずしの領収書が2件で約3万円というのも怪しい。とにかく舛添は何でも領収書だ。領収書さえあれば政治資金で落とすことが可能だから、金を払うときには必ずもらう。ところが木更津のホテルにせよ、友人にせよ、簡単に舛添に不利になる証言をしてしまう。ホテルは政治資金収支報告に書いた「会議費用」を否定し、「ご家族でみえました」と家族旅行を証言。友人は「舛添さんは鍼灸院やクリーニング店にも通っていました。クリーニング代を支払う際、どんなに少額でも領収書をきちんともらうケチな人でした」だそうだ。友人に「ケチな人」と言われてはどうしようもないが、なぜだろうか。それは舛添特有の人望の無さにあるような気がする。人に好かれない性格なのである。だからかばう人がいない。

 この「ケチな人」は朝日新聞の「東京一せこい男」と通ずるものがあるが、そのせこさ加減が身を滅ぼしつつある。加えて東大出で頭がいいはずなのに、弁明がなっていない。頭の悪い慶応出の筆者でもすぐに論破できるものばかりだ。まず筆者の川柳<香港のトップ驚く5千万>だ。舛添は「香港のトップが二流のビジネスホテルに泊まりますか?恥ずかしいでしょう」と述べたが、北京の息のかかった香港特別行政区長官が、舛添のように5千万円も使った大名旅行をしていたら、いっぺんに習近平から引きずり降ろされる。あの大名旅行でひんしゅくを買った石原慎太郎の平均より1000万円も多いとはあきれて物が言えない。大体都庁は昔から伏魔殿と言われているが、取り巻きの官僚はごますりしかいないのだろうか。慎太郎の時もそうだったが「知事これは行き過ぎです。マスコミの批判を浴びますよ」と諫める者がいないのだろうか。むしろ知事に同行していい目に会いたいという側近ばかりが、ごますり競争をしているとしか思えない。湯水のように血税を使ってである。

 さらなる「せこい発言」は、朝日川柳の<動く知事室もう閉鎖とか>だ。年間50週のうち48週の週末を湯河原の別荘に行く神経だ。しかも公用車を使ってである。舛添は「公用車は動く知事室」というが、東京大震災が発生したら「動けぬ知事室」になるのは火を見るより明らかだ。他の府県は知事の公舎を建造する際には橋が落下することまで考えて、橋を通らないで県庁に来られる路線に作るのが常識だ。緊急事態にトップがいなければ、自治体は機能しない。それに週末には行事がある場合が多く、舛添はこれに一切出席しないと宣言しているに違いない。そうでなければ一年中週末を別荘で過ごせるわけがない。「会議があるからスイートに泊まった」というが、緊急の会議など自室の膝詰め会議で十分こなせる。下手な言い訳も休み休み言ってもらいたいが、まだある。「湯河原の風呂は足が伸ばせる」というが、自宅の風呂を自費で改造すれば、足くらいいくらでも伸ばせる。

 あきれたのは「エコノミーに乗ったって、飛行機代はかかる」だ。例えば成田からニューヨークまでの料金は JALの場合エコノミーで10万円、ファーストクラス145万円で15倍の差だ。まさに舛添は“屁理屈大王”の様相だが、致命的になりつつあるのが正月の家族旅行のツケを政治資金に回した問題だ。2013年に23万円、14年に13万円の請求を会議費で政治資金処理している。舛添は「資料を精査して全体像が分かってから説明する。ミスと分かれば返金しないといけない」と早くも“ミス”で逃げようとしているが、これが成り立たないのは明白である。なぜなら1回だけならまだ通るにしても、2回となれば「確信犯」的になるからだ。2回も続けて正月にミスするかと言うことだ。会議と言うが、正月400人以上も集めて会議をするのか。そもそも「精査」と言うが、自分の手帳を見れば少なくとも「家族旅行」または「旅行」などとメモしてあるはずだ。精査など必要のない問題を問われているのだ。逆に会議と書いてあるなら、それを示せば済むはずである。おそらく、政治家の常のごとく政治資金収支報告の修正と返金で逃げ切ろうとしているのだろう。5月13日の記者会見が注目されるが、例え今回のケースで逃げ切っても、恐らく常習的に私的経費を政治資金に回していた可能性が高く、次々に出てくる可能性がある。事態は単なる週刊誌の報道から、マスコミ挙げての報道に変化してきている。問われているのは弱者の血税で自らの地位が成り立っているという認識が決定的に欠けている点だ。弱者への目線がこれほどない都知事も珍しい。早々に辞任すべきだ。
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