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2016-04-08 06:27

山尾を担いだ“飯島人事”で大失敗

杉浦 正章  政治評論家
 いつも政局を読み間違える内閣“参与”飯島勲が、今度は民進党を誤導した。「週刊文春」3月24日号で山尾志桜里を褒めちぎり、「新党の政調会長に抜てきすべき」とアドバイス。これまたしょっちゅう読み違える代表・岡田克也がまる乗りして、山尾を民進再生の最後の切り札とばかりに政調会長に抜擢。ところが地球5週分のガソリン代を政治資金収支報告に計上していたことがばれて、山尾は高転びに転んで、脳振とう状態。民進党は4月7日政調会長続投にお墨付きを与えて、かばったが、この問題は選挙次元で尾を引く。北海道5区の衆院補選や夏の国政選挙への影響は限りなく大きい。飯島の文春コラム「激辛インテリジェンス」の「民主“救いの女神”山尾志桜里」は罪深い。飯島が仕掛けた“わな”かと思いたくなるほど見事に山尾を持ち上げている。持ち上げて、人事で抜擢させ、逆さ落としに落とすわなではないか、と思いたくなるほどなのだ。コラムは「いやー、パリのルーブル美術館で観たあの名画が思い浮かぶぜ。十九世紀フランスの画家ドラクロワが、1830年の七月革命を描いた大作『民衆を導く自由の女神』を知ってるかな」に始まって、「落ちるところまで落ちた野党陣営に射したたった一筋の光明、救いの女神ってわけだよ」と山尾を持ち上げている。

 しまいには「お前マゾか」といいたくなる表現まである。「オレも一度、追及されてみたいくらいだよ」だそうだ。そして最後に「民主党も国民に全く理解されない維新の党との合併だの、党名変更だのゴタゴタしている暇があるなら、山尾議員を新党の政調会長に抜てきすべきよ。国会のあらゆる委員会で質問の先頭に立たせれば、支持率の急上昇は請け合いだぜ」と締めくくっている。しかし、飯島に政治家を見る眼がないのは“美貌?”に目がくらんだのだろうか。本質を突いていない、としか思えないのだぜ。飯島が褒めちぎった山尾の国会質問は、筆者が1月15日に“いちゃもん質問”と断じた部分を、逆に褒めあげているのだ。飯島は「首相が架空の安倍家の家計に例えて説明しただけの『仮にパートタイムで月収二十五万円だとして』の言葉尻を捕まえて、『二十五万円のパートがどこにあるんですかっ!』と切り込んだ」と褒めあげた。加えて「首相も『そんな枝葉末節の議論ばかりだから、民主党の支持率は上がらない』とやり返したけど、『枝葉末節の女性議員』は引き下がらないからスゴイぜ」なのだそうだ。野党質問を褒めあげ、首相答弁をやっつける内閣参与も珍しいぜよ。したがって、やっぱりわなではあるまいぜ。本気でそう思っているようだぜ。

 そもそも飯島が「女神」とあがめる山尾にそのカリスマがあるかだ。1989年の参院選でマドンナブームを作り上げて社会党を圧勝に導いた土井たか子と比較すれば天と地の開きがある。おたかさんこそ社会党にとって「女神」であったのだ。おたかさんは庶民性があったが、山尾はつんつんとしていて、エリート根性丸出しだ。弁明も「蓋然性があった」とか「その事案は」などと検事の口調丸出しで安っぽい。引かれ者の小唄ではないが、引かれ者が検事の口調で弁明しても説得力はない。おたかさんはふくよかで人を引きつける魅力があったが、山尾は魔女風冷血女のように見える。能面のようで表情がない。おたかさんは女性にしては太めの声だったが、山尾の声は声変わりしない中学校の女生徒のようで、キンキンとうるさい。だからもともとブームなど起きるわけがないのだ。

 そのうるさい声で弁明しても、誰もが納得しない。かつて自分が政権側を追及した言葉がブーメランとして返ってくるからだ。その一番良い例を挙げれば前経済再生担当相・甘利明を追及したときの発言だ。山尾は「知らなかったで済まされる問題じゃないです。政治収支報告書に目を通さない議員なんか民主党にはいません。私ももちろん把握してます。秘書が知らなかったと言えば、秘書が犯罪や泥棒をしてても雇い主の議員が知らなければ責任取らないでいいんですかって話ですよ。例え、甘利議員が知らなかったとしても秘書の犯罪、もしくは犯罪に準ずる行為があったならば、雇い主として議員辞職もしかるべきだと思います」と追及しているのだ。まさに「民主党にはいない収支報告に目を通さない議員」が本人であったことになる。検事のプロなら一目見て1000万円の上限超えなどは分かる。それとも自分の能力に嫌気がさして「やめ検」になったのだろうか。「責任取らなくていいんですか」は、国民みんなが山尾に対して思っていることだ。まさに「議員辞職もしかるべき」であろう。民進党内には山尾を代表に担ぎあげて、ダブル選挙を戦うべきだという「岡田降ろし」まで始まろうとしていたようであるが、表面化する前に山尾がつぶれて良かった、と思う今日この頃のようだ。それにしても、岡田は自分で掘った穴に落ちるようではどうしようもない。「山尾落ちた民進党死ね」にならないことをひたすら祈るぜよ。
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