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2016-03-26 10:56

(連載1)日本共産党の基本理念と基本政策を検証する

加藤 成一  元弁護士
 最近、日本共産党は、「統一戦線戦術」に基づく「国民連合政府」の提唱や、国政選挙に向けての、民主党など野党との「選挙協力」の合意など、日本の政治に少なからぬ影響力を及ぼし、好むと好まざるとに拘らず、今や無視できない存在になりつつあると言えよう。そうだとすれば、日本共産党の基本理念と基本政策を、改めて検証し認識しておく必要があろう。

 まず、日本共産党の基本理念である社会主義、共産主義社会の実現については、その手段方法が問題であろう。共産党は選挙によって国民の多数を獲得し、平和的に変革すると主張する。しかし、他方で「革命への移行が平和的となるか非平和的となるかは、結局敵の出方による」(宮本顕治著『日本革命の展望』)とか、「わが党は、革命への移行が最終的には敵の出方にかかるという立場をとっている」(不破哲三著『人民的議会主義』)という、いわゆる「敵の出方論」が共産党には存在する。

 「敵の出方論」とは、彼らの言う「敵」すなわち「反動勢力」が「社会主義革命」に対して「反抗」や「反革命」を行った場合は、非平和的手段すなわち暴力で打ち砕くということである。ロシア革命を指導したレーニンも、「いったん獲得した社会主義政権に対する階級敵による反抗(反革命)を打ち砕くためには、法律に基づかない暴力によって抑圧する」と言っている。すなわち、社会主義、共産主義社会を実現するためには、時と場合によっては非平和的手段である「暴力」の使用を排除しないというのが「敵の出方論」である。

 共産党は、いまだに「敵の出方論」を放棄していない。このことは、いわゆる「マルクス・レーニン主義」の革新である「暴力革命」を放棄していない、ということでもあろう。カール・マルクスは、「強力(暴力)は、新しい社会をはらむ、すべての古い社会の助産婦である」と述べ、社会主義革命における「暴力」の役割を極めて重要視しているのである。共産党が、現在も公安調査庁による「破壊活動防止法」の調査対象になっているのは、「社会主義革命」を目的とし、「敵の出方論」に基づく「暴力革命」を放棄していないからであると言えよう。(つづく)

 
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