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2015-11-27 05:46

岡田が左右から「揺さぶられっ子」症候群

杉浦 正章  政治評論家
 民主党代表・岡田克也が党内、党外の右と左から揺さぶられて、まるで「揺さぶられっ子症候群」に陥りそうな状態を呈している。11月26日も、共産党委員長・志位和夫が大阪市長選で失敗したにもかかわらず選挙協力を持ちかければ、維新の党の代表・松野頼久が「来年にも新党を」と働きかける。志位に到っては、参院選への予行演習とばかりに町村信孝死去後の北海道5区での選挙協力を打ち出した。まるで悪女の深情けというか、背中にくっつく「おんぶお化け」というか、共産党はしつこくつきまとって離れない。

 大阪市長選の敗北で永田町に衝撃が走ったのは、大阪自民党が共産党との共闘で大敗を喫したことだ。「共産党票をプラスすれば勝てる」とふんだ自民党は、候補・柳本顕の叔父で参院議員の柳本卓治が共産の街宣車に乗ったり、書記局長・山下芳生と手を取り合って高々と掲げるなど、共闘のアピールで“深入り”した。ところが、集まった自民党支持者からは「馬鹿馬鹿しくて見ておれんは」と、群衆から離れるケースが続出したという。自民党府連幹部は「共産党と蜜月ぶりを見せれば見せるほど、票が離れた」と分析している。もちろん民主党もこの傾向を見て衝撃を受けており、24日の常任幹事会で保守派が岡田を突き上げた。「共産党と組むと保守票が逃げることがはっきりした。それでも選挙協力を進めるのか」との批判や懸念の声が噴出したのだ。もともと民主党内の選挙のプロは「共産党から2万票もらっても、3万票離れる」と分析していた。

 こうした“不穏”な動きを感じ取ったか、志位は26日、民主党への選挙協力の第2弾を放った。4月24日投票と決まった北海道5区の衆院補選で「野党統一候補が出来る場合は後任候補を取り下げる」と言明したのだ。さっそく幹事長・枝野幸男が「目標は民主党が1議席を増やすことではなく、与党の議席を奪うことだ。最も効果的なやり方をする」と述べ、野党統一候補の擁立を目指す考えを明らかにした。まさに志位の“術中”に落ちるの図だ。しかし、選挙が弔い合戦になった場合は、自民党候補が勝つというジンクスがある。もっとも町村は2009年の総選挙では小選挙区で民主党に3万票余りの差をつけられ敗北。比例北海道ブロックで復活当選するという苦い経験があり、予断を許さない。民主党は、共産党の応援を受けて負ければ岡田の責任問題に発展する可能性があり、まさに夏の国政選挙に向けての天王山となる。

 一方、代表・松野頼久は26日「新党を来年作るべきだ」と岡田に申し入れた。松野は年内に統一会派を作り、国会の論戦を戦った上で、維新と民主が解党、4、5月には新党を立ち上げる構想を練っている。これには党内右派の細野豪志、前原誠司が同調して解党論を展開している。民主党への維新の合流を主張している岡田への揺さぶりをかけているのだ。なぜ松野や右派が解党論なのかと言えば、せめて党名でも変えないと新鮮味が出ないというところに尽きる。読売の世論調査を見ても、一強自民が支持率40%なのに対して、民主党は7%。維新は何とゼロ%だ。おおさか維新の会が2%であり、橋下徹のいない維新などはそもそも政党と見なされていないのだ。来月6日に代表選のための党大会をやるが、松野がなろうと小野次郎がなろうと、まず支持率が劇的に上がることはない。だから名前を変えて夏の選挙に臨もうとしているのだが、駄目と支持率ゼロが一緒になって名前だけ変えても、駄目の二乗になるだけだろう。こうして「岡田民主」は右と左からピラニアのように食い荒らされているのが現状だ。しかし、細野も前原も党を割るほどの勢いはない。前原はおおさか維新の橋下と親しいが、まだそこから何かが生まれるような風は吹いていない。政治状況はまるで独り横綱の首相・安倍晋三に、子供力士が束になってかかっているような状況で、手足をばたばたさせているだけのような図柄である。
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