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2015-07-17 07:24

新国立競技場騒動を嗤う(連載2)

鹿又 勝己  フリーTVプロデューサー
 しかし、海外で仕事をした経験のある筆者としては、日本の海外イメージの劣化(世界遺産登録問題でのオウンゴールの影を薄くしてしまうほどの)が何より気になる。伝えられるところでは、2008年の北京大会会場(鳥の巣)の建設費用が邦貨換算500億円。2012年のロンドン大会では同900億円。これに対し、次期東京大会では当初想定予算ですら1,300億だが、それが現時点で2倍になっている。しかも、それでも設計通りの機能は完成せず、オリンピック終了後も建設が続く予定とのことである。

 これは果たして、最終案とか計画とか呼べるのか?通常、こういう事態に立ち至れば計画案は取り下げられ、すでにある次善の計画案が対案として示される。公正なコンペティションをやったのだから、それがビジネスの常識というものだ。だが、誰が考えても非合理だと見做される物事がそのまま推進されるその裏には、推進しようとする人々にとってだけは「合理的な理由」が存在する。これも常識というものだ。

 一時期、国際組織で働いた経験から言うと、国際プロジェクトではミスレイニャス(取り残しとでも訳せばいいのか?)というものが発生し、組織運営費用の一部に充当されたものだ。従来とは比較にならない費用が計上されている東京オリンピック会場建設。そこにはよほど美味しい「取り残し」が期待されている、と見るのが国際常識である。日本ではそんなことはありえない、と多くの人は言うだろう。しかし国際社会はそう見る。そして事態のこれまでの経緯を見る限り、日本がそう見られて当然と、考えざるを得ないのに慄然とする。

 「政府、新国立競技場の建設計画見直しへ」と15日夜、小さく伝えられた。日本社会への疑惑を吹き払い、「日本は違う!」ともう一度考えてもらえるにはこの動きが具体化する以外にない。「新国立の見直し検討、支持低下に危機感 」との報道もあるが、どうかな?見上げてしまう国際的建築家・安藤氏は、昨年、この建設デザイン決定の発表会場で最後の決め手は「世界に発信する力」だと強調したようだ。しかし、これだけ話題を提供したのだから「日本が世界に発信する力」はすでに十分発揮できたと思うが、どうだろう?(おわり)
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