国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2006-10-27 16:34

3極会合の前提は強固な日米関係

大西 健  大学生
 8月4日付け「CEACコラム」に掲載された白石隆氏のの論説「日米中3極会合を」について私見を述べさせていただきたいと思います。白石氏が述べるとおり、日米中の3極会合は今後の東アジアの安定のために、中国が一方的な行動をとらないよう、関与していく仕組みとして非常に有意義なものです。まず、日米中の3国関係を考えたときに、基本的な認識となるのは日米が現状維持国家であり、中国がチャレンジャーであるということです。中国が現在の世界および東アジアの戦略環境を変えたいと思っていることはまず間違いありません。日本は現状維持国家であり、チャレンジャーである中国による現在の戦略環境の変革を可能な限り小さくとどめておきたい立場にあります。変革が起こることが避けられない以上、3極会合は中国のチャレンジをうまく軟着陸させる場とするべきです。
 
 そのためには、日本と同じ現状維持国家であるアメリカとの緊密な協調が欠かせません。現在は非常に友好な日米関係ですが、この現状に安住することは危険です。アメリカで実施される世論調査の結果を見ると、中国の存在感が非常に大きくなってきていることが判ります。中国は著しい経済発展による経済的な存在感だけでなく、6カ国協議の議長を務め、一定の成果を挙げるなど政治面での存在感も増しています。もちろん、アメリカにとって同盟国である日本の重要性は中国よりも遥かに大きいですが、日本がアメリカを必要とする度合いに比べたとき、やはり不安にならざるを得ません。

 在日米軍の再編も最終報告が取りまとめられたとはいえ、その実現はこれから長い年月をかけて行われます。基地移転先の地元との調整を含めまだまだ解決すべき問題が存在し、基地再編がすんなり実現するかどうかはまだ分かりません。その他に米国産牛肉の輸入問題など、日米間にも摩擦の種は多く存在しています。グローバルな視点から、自らの利益を追求するアメリカが存在感を増す中国を重視し、日本の望まない形で中国との間で妥協を模索する、あるいはさらに積極的な役割を中国に担わせるという行動を取ることも可能性として排除するべきではありません。こうなれば、日米中3極会合の日本にとっての意味は大きく損なわれてしまいます。
 
 日米中の3極会合を行うにあたっては、日本はまず日米関係を強化・維持し、3極会合において日米共通の利益を基に中国に関与できるだけの前提状況を整える必要があると考えます。現在の日本は、やはり自らのイニシアティブで何かを成し遂げるという姿勢が欠けています。アメリカにとって必要不可欠なパートナーとなるためには、自主性をもった主体とならねばなりません。そうすることでアメリカにとって必要不可欠な存在となり、より強固な日米同盟を築く必要があります。アメリカと中国という非常に強力な2つの国を相手に会合を持つのであれば、それくらいの心構えで取り組まなければ、日本の頭越しに米中が手を繋ぐという事態を迎えかねないと思います。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会