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2006-10-13 12:54

なお抜本的改革が必要なIMF

山下 英次  大阪市立大学大学院教授
 村上正泰さんの9月27日付け投稿「IMF改革とアジアの地位向上」に関連して、IMFについて若干発言します。

 無論、IMFクウォータがより各加盟国の経済実態を反映したものになることは、前進であり、非常に好ましいことである。しかし、IMFの最大の問題点に焦点を当てた抜本的な改革が必要であることを、もっと声を大にして言わなければならない。現行規定では、IMF理事会における重要問題の決定については、85%以上の賛成が必要とされる。他方、米国の投票権は17%強であることから、IMFでは事実上、米国一国だけが拒否権を持っている。国連安全保障理事会は、5カ国のみが拒否権を持っており、これも極めてアンフェアであるが、IMFはそれよりもさらにひどい。

 IMFが、すべて米国の思い通りなるわけではないが、重要問題に関しては、米国の意に沿わない決定は事実上不可能である。重要問題に関しては、単純多数決ではなく、特定多数決(QMV)を定めることはよくあることであるが、通常は3分の2ぐらいである。意図的に、ある特定の一カ国に拒否権を持たせ続けるために、85%などという異常なQMVとしているわけであるが、これはまさに「前近代的」と言わねばならない。実際、IMFは、加盟国政府にたいしても、各国納税者にたいしても説明責任を十分に果たしてあらず、かなり透明性の低い機関である。それも、米国一国が拒否権を持っていることと無縁ではない。

 主要な国際機関において、このような状態を放っておくことは、米国にとってだけでなく、国際社会全体にとっても、極めて不名誉なことではないだろうか。このままでは、IMFは国際機関といよりも、「米国財務省の国際支店」だといわれても仕方がない。
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