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2014-02-28 14:45

(連載1)米国も窮地にたっているTPP交渉

田村 秀男  ジャーナリスト
 TPPで米国は自動車保護関税を20年かけて撤廃するので、日本も5分野農産物保護関税を20年で全廃せよと迫っているとの報道がある。かろうじて生き残ってきた米ビッグ3だが、その理由は最高25%の保護関税なのだ。20年先だから、まだ大丈夫というわけではない。先行き見通しで決まるのが株式資本主義のアメリカだから、ビッグ3の先行きは険しく、先細りは必至だ。となると、今のオバマ政権の指導力で関税ゼロは不可能だ。日本も農業聖域撤廃というのは、やはり政治的に持たない。となると、日米は保護継続で妥協するしかないのだが、どうなるか。

 2月22日からシンガポールで始まった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)閣僚会合が、25日閉幕した。交渉前進の鍵は「日本のコメ対米国の自動車」という構図にあるのだが、国内メディアの勉強不足は目に余る。典型が2月16日付の日本経済新聞朝刊第3面の「日米『聖域』妥協点探る」というトップ記事である。この記事は米国の「自動車」関税率が2・5%、「トラック」関税率が25%だというが、不正確だ。

 米国はクルマを「オートモービル(automobile)」と「ライト・トラック(light truck)」に分け、それぞれ2・5%、25%の関税率を適用している。日経はこのライト・トラックを「トラック」と思い込んだ。トラックはライト(軽量)とヘビー(重量)に区分けされるが、ライト・トラックはピックアップ・トラックのような荷台つきの小型トラックを指すばかりではない。4輪駆動などスポーツ用多目的車(SUV)を含める。

 SUVこそはビッグスリーの主力収益源である。米車の出荷額は1997年以来、ライト・トラックがオートモービルを凌駕している。SUVの各社別モデルで言えば、ジープ・グランドチェロキー、フォード・エクスペディションが米車では代表的だが、日本のトヨタ・ランドクルーザー、英国ランドローバー・レンジローバー、独ベンツGLクラスなどの強力なライバルがいる。(つづく)
 
 
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