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2014-02-05 06:57

VOKAに敗れた日本のロビー工作

杉浦 正章  政治評論家
 一種の子弟に対するbrainwashing(洗脳)につながる事態だと言うことがバージニア州の教育者には理解できないのだろうか。国連も米政府も「日本海」で公式に確定している呼称を、韓国の主張する「東海」と教科書に併記すれば、教育現場は間違いなく混乱する。そればかりか、韓国の歴史認識を米国の子弟に押しつけることになる。偏向教育になってしまうのだ。バージニア州の高校生はハーバード大学に受からなくていいのか。バージニア州出身の空軍兵士は出撃命令を受けて日本海を地図で探すのか。まんざら笑い話でもあるまい。いかにして韓国のロビー工作が成功したかを分析すれば、2013年1月に生まれたVOKAの存在が大きい。これに日本のロビー工作は敗れたことになる。「アメリカ韓国人の声」VOKAは韓国政府の肝いりで韓国系米人勢力を活用して反日ロビー工作をするためにできた団体だ。慰安婦問題と並ぶ「東海」呼称問題を米議会や教育庁に働きかけている。その攻略目標は首都ワシントン周辺の州から始めて、中央政界に目立たせたうえで、政治的なプロパガンダに結びつけようというものである。韓国人はベトナム戦争従軍などの“功績”が認められて、比較的米国への移民が容易になっている。このため韓国系米人は増える一方となっており、現在全米で170万人がいる。このうち約8万人がバージニア州に住んでおり、ユダヤ人同様に結束力が強い。

 これを反日プロパガンダに活用しようと韓国政府は資金をつぎ込み、草の根レベルでの活動を展開している。既にメリーランド州ではアラナンデル郡が教育指針書で「東海」を併記するよう指示した。今回はバージニア州で「東海」を併記するよう求める法案が2月3日、同州下院教育委員会で可決され、成立する方向となった。同様の法案は既に上院で可決されており、週内にも開かれる下院本会議で可決され、州知事が署名すれば成立する。駐米大使・佐々江賢一郎は1月22日に、州知事・テリー・マコーリフに法案への反対を求めていたが、知事はVOKAの意向を受けて公約に「東海併記」を掲げて当選したばかりであり、聞く耳を持つはずがない。VOKAはあの手この手で地方議員ばかりか上下両院議員にまで触手を伸ばして、反日ロビー工作を展開している。「東海併記」も従軍慰安婦問題も、共通しているのがカネと韓国人票だ。韓国政府もVOKAを通じての招待外交を展開、まぎれもなく両者一体となったロビー工作である。

 VOKAは勢いづいており、全米50州に反日キャンペーンの輪を広げようとしている。こうした動きに対して米国のマスコミがようやく教育に与える深刻な事態だと気付いて、警告の記事を掲載し始めた。ワシントン・ポスト紙は3日付の社説で、「学校で教える歴史は、歴史家の優れた判断に準拠するべきだ」と法案を批判する社説を掲載した。さらに社説は「バージニア州にはたくさんの韓国系がいるが、日系はほとんどいない。学校で教える歴史はこうした事情を考慮して決めるべきではない」と核心を突いた。地元紙リッチモンド・タイムズ・ディスパッチも3日の社説で「州議会と議員は、教科書の問題に関与すべきではない。州は連邦政府が採用しているものを採用すべきであり、それは『日本海』だ」と批判した。確かに心あるマスコミや知識人にはVOKAの派手なプロパガンダは通用しまい。そもそも韓国が公に国際社会で「東海」を主張し始めたのは1991年の国連加盟以降であり、そのプロパガンダの中心には日本海の呼称が20世紀前半の日本による植民地支配の結果であるとする歴史認識がある。しかし日本海の記述は1602年、イタリアの宣教師マテオ・リッチが書いた世界地図に初めて表記されたものである。政府もフランス国立博物館の協力を得て、古地図407枚の調査を行っているが、その結果は「日本海表記が249枚、朝鮮海が60枚、東海:0枚」というものであった。

領海を隣接するロシアも公式文書は日本海であり東海ではない。韓国政府も「東海」を主張するなら、南シナ海を「南海」と呼ぶよう国際社会に主張するべきだが、これは国内の呼称にとどまっている。簡単に言えば中国が怖いのだ。一連の韓国による反日キャンペーンの核心には、日本に対する劣等意識や過剰な恐怖感があるような気がしてならない。これが裏返しとなって、歴史認識にこじつけての執拗な圧力となって噴出するのだ。米国は多民族社会であり、多様な人種を無理矢理統一する思想は戦後薄れ、むしろ人種のるつぼを認め、各民族の特殊性を尊重したうえで統合する方向になっている。したがって韓国系米人の動きもある程度是認される流れにある。しかし永住の地と定めた国の教育までゆがめ、本国の操るままにプロパガンダを展開していればどうなるかだ。やがては米国社会や政治の中で異質の人種として孤立することを知るべきだ。日本海の呼称問題は、国際的にも主張に無理があり、極東の小国の異常性が際立つばかりであることに早く気付くべきだ。また、たびたび警告しているが、日本の対米ロビー工作は昔は強力であったのに、最近では中韓両国に著しく見劣りする。早急に対策を練るべきだ。
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