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2014-02-02 21:05

日中合作「アニメ・一休さん」に期待する

若林 洋介  学習塾経営
 昨年末(12月26日)の安倍首相の靖国参拝が物議を醸し出した直後、年明けの1月2日の人民網(日本語版)には、日中合作の「(劇場版)アニメ・一休さん」が中国全土において放映されるとの報道がなされていた。この一報は、安倍首相の靖国神社参拝による憂鬱な気分を、一挙に晴らすに十分なものであった。人民網によると「一休さん」は、テレビ放映を通じて80年、90年代生れの子供達に絶大な人気を博したが、99年を最後に放映がなされなくなっていたとのことである。それが15年ぶりに本年1月31日から、中国全土の劇場で封切られることになったことは、非常に歓迎すべきことである。

 アニメの総作画監督、プロデューサーの石黒育氏は、「見る人には、見終わった後に、本当の『知恵』は他の人と比較するために使うものではなく、他の人を助けるために使うものであるということを知ってもらいたい」と語っており、人民網の記事では「中国で公開されることに合わせて、同作品では中国人の女の子のキャラクター(明のイタズラ好きなお姫様)も登場し、一休さんと頓知(とんち)や知恵比べをするために海を渡るだけでなく、さまざまな試練を乗り越えて安国寺の小坊主たちと深い友情を築く」内容であることが紹介されている。日本仏教の歴史を振り返ってみると、平安時代初期、空海上人が遣唐使として大唐帝国・長安の都で真言密教を学び、日本の地に「仏の心」を持ち帰ったことを思い出す。今度は、中国のお姫様が日本の一休さんに「仏の智恵と慈悲の心」を学んで中国に帰るというストーリーのようだ。                   

 また東京で中華料理店を経営しているある中国人は、次のように語っている。≪「一休さん」は、・・・中国でも愛され、・・・その内容は、【困難を力ではなく、「頓智(とんち)」で解決する】ということが主ですが、知恵、勇気、愛情、友愛、などの言葉がふさわしい心温まるストーリーだと思います。大人が見ても、涙する場面に出会うことでしょう。「一休さん」が中国で人気ということは、【日本人とも共通する「善の心」】が満ちていることの証明でしょう。中国の人と、是非「一休さん」を話題にしてみてください。≫

 他方、相変わらず習近平政権下においても、「抗日戦争ドラマ」が放映され続けており、「反日・愛国教育」も続けられている。そのような中国人の子供たちの心に灯されている唯一の希望の光りが、「一休さん」の「善の心」であり「仏の知恵と慈悲の心」である。また本年1月22日、ダボス会議において日中関係を「第一次世界大戦前の英独関係」になぞらえた安倍首相の発言は、大きな話題を呼んだ。このような相互不信と疑心暗鬼の状態にある日中両国関係の中においこそ、中国全土で1月31日に封切られる「劇場版『聡明的一休之反斗公主』、日本語訳『一休さんのわんぱく姫』」の意義は非常に大きなものがある。私は声を大にして言いたい。「ガンバレ、一休さん」と。
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